2000年05月17日 |
ABS樹脂、内需は年率2.6%成長を予測~日本ABS樹脂工業会 |
2000年内需は4.7%増の43万6,000トン |
【カテゴリー】:実績/統計 【関連企業・団体】:日本ABS樹脂工業会 |
日本ABS樹脂工業会は17日、2000~2002年におけるABS樹脂の中期需要予測を発表した。これによると内需は建材住宅部品や雑貨などの分野を中心とした成長を背景に年率2.6%成長し、今年は43万6,000トンとなり、輸出を含めた国産品の合計は60万1,000トンと60万トン台に回復する見通しとなっている。 1999年の実績は、国内と輸出をあわせたABS樹脂の総出荷量が前年比4.9%増の59万2,100トンで、このうち国内出荷は3.8%増の40万1,000トンと2年ぶりに40万トン台に回復した。これは建材部品や異形押出品の需要増により建材住宅部品分野が25.7%増、また雑貨分野では家庭用ゲーム機などの需要増にともない18.2%増を記録したことなどによる。一方自動車分野は自動車生産台数が前年割れとなった影響が大きく、機器分野も海外生産シフトや難燃用途における他素材への一部シフトなどからマイナス成長となった。さらに輸出は、メインのアジア市場の需要回復や原料高騰にともなう市況の上昇、さらに透明グレードの需要増などから7.1%増の191,100トンを記録した。なお1999年の実績は、7月から日本エイアンドエルが統計に加わったことにより、前年統計との連続性が欠けている。 対する2000年およびこれ以降の予測の前提として、まず日本経済の見通しについては、昨年末に策定された経済新生対策の効果により公共投資が景気を下支えし、年度後半にかけては公共投資の効果が減退するものの、堅調な輸出を背景に所得環境が改善に向かい、個人消費も徐々に増加する見通しであること、また設備投資も情報化関連投資がけん引役となり、堅調なペースで増加し、2000年実質GDP成長率は、下期に民需の自立的回復の兆しが見えることから0.9%のプラス成長を見込んでいる。2000年以降の対米ドル為替レートは1ドル=105円を前提としている。また世界経済の見通しについては、米国経済がソフトランディング、欧州経済も堅調な成長を予想、アジア経済については、IT製品の需要拡大が続くなか、情報化関連の輸出増とこれにともなう民間消費支出の復調があいまって、景気回復をより強固なものにしているとみて、2000年は中国のデフレ現象や金融構造問題などの懸念材料があるものの、IT関連需要や輸出のさらなる回復に後押しされ、プラス成長を継続すると予想している。 これらを踏まえた2000年の予測は、国内需要が4.7%増の43万6,000トン、輸出が5.8%減の18万トンとなり、合計出荷は61万6,000トンと1.4%増加する見通しとなっている。 内需のうち車輌用途は、新規格の軽自動車の投入効果が減退する反面、内需の回復およびアジア向け輸出拡大により、生産台数は2%増加、再び1,000万台に回復すると見られている。ABS樹脂としては、四輪車は生産台数の回復と外装部品の原単位が堅調に推移する一方で、内装原単位は素材代替の進展により減少、トータルでは前年比1%増を予測。二輪車は引き続き生産台数の減少により3%減少、全体では前年並みを予測しており、1999~2002年にかけても横ばいで推移する見通し。 一般機器用途は、ユーザー業界の需要がIT関連機器の成長や複写機のデジタル化・複合化、携帯電話のさらなる普及など、好調に推移する見通しである者の、ABS樹脂としては海外への生産シフトや他素材への転換など依然として逆風下にあることから、2000年は1.7%減、1999~2002年にかけては平均3.7%の減少を予測している。 電気器具用途は、主力の冷蔵庫など成熟製品が多いため飛躍的な増加は期待できないものの、景気回復による個人消費の回復により生産レベルの上方修正が見込まれる。ABS樹脂としてはAV機器や冷蔵庫、エアコン、掃除機向けなどは微増で推移するが、次世代テレビやDVDなど新規アイテムの登場も期待され、全体では前年比2.9%増、1999~2002年にかけては平均1.9%の成長を予測している。 建材住宅部品は、2000年の新設住宅着工数がローン金利上昇基調などの要因から前年を若干下回る見通しであるが、ABS樹脂としては脱塩ビの動きなどを背景に堅調な増加が期待され、27%増を見込んでおり、1999~2002年については平均17.9%の高成長を予測している。 雑貨その他は新商品の立ち上げや家庭用ゲーム機市場の活性化などにより、玩具分野の需要増が見込まれるほか、個人消費も緩やかな回復基調を示すと見られ、ABS樹脂としては2000年に7.1%増、1999~2002年は平均3.8%増を見込んでいる。 輸出については、さきに触れたように、1999年は景気回復、原料高や需給ギャップの引き締まりにともなう市況の上昇、さらに透明グレードの需要増という追い風があったものの、2000年以降は需給ギャップの緩和、主力市場である中国の政策の先行き不透明感など不安要因が多いことから、1998年並みの水準で推移するとして、2000年は5.8%減少、2000~2002年にかけては横ばいを予測している。 http://www.c-nt.co.jp/cgi-bin/passFile.cgi?FILE=data/miti/2000abs>ABS樹脂の中期需要予測(2000~2002年) |