2000年05月16日 |
PPS、IT関連の成長で高CTI/低MDへのニーズが高まる |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:なし |
PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、電気電子分野、特に携帯電話をはじめとしたいわゆる“IT”関連需要の高まりとともに、物性面では高CTI(耐トラッキング性)、低MD(収縮率)ニーズが強まっている。このため各社とも、これらの物性を改良したグレードの開発を進めている。 PPSは、日本で販売されるようになった当初は自動車分野の需要がメインであったが、現在は国内需要の半分近くを電気電子分野が占めている。また自動車分野でも電装部品向けの需要も多く、これらを加えると電気電子部品の需要が大半を占める。 電気電子分野では、コネクターやスイッチ、コイルボビンなどに用いられている。特に90年代に入ってからは、SMT(表面実装)対応部品の増加とともに耐熱性に優れたPPSの需要が急速に増加している。さらに近年は、パソコンや携帯電話、PDA(携帯情報端末)などITをキーワードとした製品の成長が需要を後押ししているが、これらの製品の性能向上にともないコネクターなどに高い電圧が加わることになり、絶縁性を失い大量の電流が流れてしまう絶縁破壊が発生しやすくなる。そこで絶縁破壊への耐性の指標となるのがCTIで、ユーザーからの要求が厳しくなっている。また、製品の軽量化、低容積化にともなって、部品の極小化、精密化が進んでいるため、もとももと寸法精度の高いPPSだが、さらに低収縮率を求める声も強い。 こうしたことからPPSメーカー各社は、従来からPPSの欠点とされているバリ発生の低減とともに、さらなる高CTI化、低MD化を目標としたグレード開発に取り組んでおり、今後ますます性能面での競争は激化していく見通しだ。 |