2000年05月10日
三菱レイヨン、人工炭酸泉浴機能付き温浴療法用装置を発売
民生用含め5年後めどに20億円事業へ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンと子会社の三菱レイヨン・エンジニアリングは10日、共同で人工炭酸泉浴機能付き温浴療法用装置「カーボメディカ」を開発、同日付けで販売を開始した、と発表した。初年度は販売目標は300台で、5年以内に民生用を含め20億円規模の事業に育成していく方針。
 カーボメディカは、温浴療法として使用する気泡浴機能と、炭酸浴に使用するための高濃度炭酸水を製造・供給する人工炭酸泉製造機能を備えた医療器具。気泡浴機能は、薬事法施行令による温浴療法用装置(理学診療用器具)の機能に該当する。温浴療法については血行不良の改善、神経痛などの痛みの緩和などの効果が認められている。カーボメディアは、医療施設などでニーズの多い部分浴に特化することで、小型化と低コスト化を実現したもの。
 またカーボメディカの特長である人工炭酸泉製造機能は、同社が人工炭酸泉研究会を中心とした専門医への委託研究などを通じて、開発を進めていたもの。三菱レイヨングループの得意とする中空糸膜技術を応用、極めて高い溶解効率で炭酸ガスを湯に溶解させるとともに、濃度を容易にコントロールする新技術をベースとしている。炭酸泉を使用した炭酸浴療法は、現在ドイツの医療施設で実施されており、1,000mg/リットル以上の高濃度天然炭酸泉が用いられているが、カーボメディカは同濃度の人工炭酸泉を簡便に製造することができる。
 炭酸浴は、日本薬局方において静脈血の心臓還流の改善、皮膚の充血などの適用が認められているが、従来この療法は世界的に見ても天然炭酸泉を豊富に得ることのできるドイツなどの地域で実施されるにとどまっている。しかし、現在ドイツや日本の医学研究者により、同療法を標準化し普及させることを目的とした研究が進められており、三菱レイヨンの有している高濃度炭酸泉製造技術に大きな期待が寄せられていた。
 今回発売するカーボメディカは、サイズが縦40cm×横35cm×奥行き30cmで、重量は19キログラムと設置場所を選ばないコンパクトサイズ。人工炭酸泉浴機能を使用する際には、別途炭酸ガスボンベを設置する。価格は140万円で、三菱レイヨン・エンジニアリングが製造・販売する。
 三菱レイヨングループは今後、新しい機能を持った温浴療法用装置としてアピールを強化するともに、販売代理店など販売ルートを拡充、医療関係機関向けを中心に、初年度300台の販売を目指す考え。またすでに一部販売を開始している民生用を含め5年以内をめどに20億円の売上を目標としている。
 なお人工炭酸泉の研究概要はhttp://www.co2kur.com target=blank>人工炭酸泉研究会ホームページ、炭酸泉製造装置および炭酸泉浴に関する情報はhttp://www.co2spa.com target=blank>三菱レイヨン・エンジニアリングホームページで見ることができる。