2000年04月27日
AN需給、一段と逼迫感強まる
一部メーカーでは自社誘導品減産、ファイバー向けは950ドル越えも
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:旭化成、三菱化学

 AN(アクリロニトリル)の需給逼迫感が一段と強まっており、一部大手メーカーでは輸出を削減、自社誘導品の生産調整を行うなど、玉繰りが深刻化してきている。
 AN需給は昨年秋に大手メーカーの設備トラブルなどから在庫が大幅に減少、アジア各国でのファイバー、ABS樹脂など引き合いが好調なこともあり、玉ショート状況での推移が続いている。こうした中3月には旭化成が水島で定修を実施したこともあり、一段と需給逼迫感に拍車がかかっているもので、ユーザーへの安定供給のために自社誘導品の減産に踏み切る動きが顕在化し始めている。
 業界筋によると、国内ANメーカー各社の在庫水準は、通常では3月からの定修を控えて毎年1月頃から在庫積み増しの動きがあるものの、今年は昨年の11月以降ほとんど変わらない水準で推移、各社ともに安定供給体制に不安感が出るレベルであるとしている。
 こうした状況から、三菱化学がアクリルアマイドの減産に踏み切っており、旭化成も契約ベースでの最低限の輸出で対応する方針とされている。
 アジア市場でも米国からの玉流入の減少もあって需給逼迫感が続いているが、5月には韓国の泰光産業が定修を実施することもあり、一段と需給がショート化するものと見られている。
 アジアのANスポット価格は、原油、ナフサ価格の下降などから他の化成品に一服感が広がる中でも、依然として先高観が続いており、現在はCFR・トン900ドルを超える水準に達しているが、商社筋によるとインドネシア、タイなど東南アジアのファイバーメーカーが玉の確保に動いており、一部では950~960ドルでの交渉も行われているとされている。