2000年04月24日
三菱レイヨン、タイMMAを5月6日から2週間休止
相次ぐ定修で、MMAモノマーアジア需給一段と逼迫へ
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:クラレ、住友化学、三菱ガス化学、三菱レイヨン

 三菱レイヨンは、タイのMMA(メチルメタクリレート)モノマー製造会社「タイMMA」の製造設備を、5月6日から約2週間メンテナンスのため休止する。全世界的にMMAモノマーの需給逼迫感が続いていることもあり、同社では場合によっては、セールスアロケーションも余儀なくされる状況もあり得るとして、現在ユーザーへの供給計画を詰めている。
 タイMMAは、通常は1月に定修を実施するが、今年については昨年5月に稼動を開始して1年目に当たることから、工場運営上の安全面などを考慮した結果、予定通り休止を実施することにしたもの。
 アジアのMMAモノマーは、2月の旧正月明け以降旺盛な引き合いが続いているが、全世界的に需給逼迫が続いていることもあり、アジアへの玉流入もほとんど無い状況となっている。こうした中、相次いで定修が予定されており、4月の三菱ガス化学・新潟を皮切りに、5月には三菱レイヨン・大竹(C4法系列)、住友化学・愛媛、韓国・LG MMA、6月共同モノマー・大阪、7月三菱レイヨン・大竹(イソブチレン法系列)、クラレ・中条など定修が集中実施される。とくに同社は、国内では3系列中2系列が定修を実施、タイでの定修もあって玉繰りが困難を極めることが予想されている。
 MMAモノマーのアジア市況は、1997年頃までは安定的にCIF・トン1,300~1,500ドルのレンジで推移していたが、通貨危機を発端とするアジア各国の経済混乱により急激に軟化、1998年3Qには1,000ドルを割り込み、4Qには700~800ドルと過去最安値の水準にまで下落していた。その後も、サプライヤー各社では値上げ交渉を進めてきたものの、新プラントの稼動、他の石化製品の低迷にも引きずられ上げ足は遅く、1999年3Qは900ドル強の水準となっていた。しかし4Qには韓国、台湾、中国を中心にアジア各国での需要が好転、一転して需給バランスがショート状態となり、原料高騰もあって市況が急回復、現在は1,200~1,300ドル水準となっている。こうした状況下で、一段と需給逼迫が強まることもあり、5~6月には1,400ドルを超えることが確実視されており、しばらくは強含みでの展開が予想されている。
 なお、国内価格についても第4次値上げが進められているが、現在は今月中の決着を目指して大詰めの交渉が続いている。