2000年04月13日
塩ビの高炉原料化実用化実証設備が操業入り
VEC、NKK、プラ協が共同で新技術の仕上げへ
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:NEDO、塩ビ工業・環境協会、プラスチック処理促進協会

 塩ビ工業・環境協会(VEC)、日本鋼管(NKK)、プラスチック処理促進協会の三者は13日、川崎のNKK京浜製鉄所内で、塩ビを高炉原料化するための実用化実証設備の竣工披露式を開き、本格運転を開始した。
 この設備は、農ビや壁紙など各種塩ビ廃棄物を製鉄還元剤として利用していくのに必要な技術の確立を目的としたもの。
 塩ビなどプラスチックの廃棄物のリサイクル率を高めていくには、廃プラスチックを原燃料として再利用するいわゆるフィードストック・リサイクルの普及・拡大が不可欠というのが多くの識者に共通した判断となっている。高炉原料化はそのフィードストック・リサイクルの有力手法の一つ。ただし塩ビ廃棄物を高炉原料化する場合は、塩素分を分離する必要があり、このためこれら三者は97年8月に、脱塩素と塩酸回収を円滑に実現できて実用性に優れる新プロセスの共同研究を開始し、翌98年4月には試験設備を同製鉄所内に建設して基礎技術の確立に取り組んできた。
 今回建設された実用化実証プラントは、これまでの研究開発活動で確立できた基礎技術を実用化レベルまで引き上げるためのもの。いわば最終仕上げのためのプラントということができる。処理能力は年5,000トン。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の資金助成を受けて建設された。世界でも初めてのもの。
 今後これら三者は、(1)高濃度の塩ビからの脱塩素技術、高炉原料化技術の確立(2)高純度塩酸の回収・利用実用化技術の確立(3)一貫設備(破砕・造粒、脱塩素・高炉原料化、塩酸回収、高炉吹き込み--などの一連の工程をこなせる設備)による連続操業技術の確立(4)塩ビ濃度の変動に対応した安定操業技術の確立--の四つのテーマを中心に研究の仕上げに取り組んでいく。
 ついては、2001年4月以降に同プラントを実用装置として活用していくことを視野に収めて研究を進めていくとしており、今後の活動の行方が注目される。

http://www.c-nt.co.jp/news/pvc_recycle.html">塩ビ高炉原料化設備工程表、写真