2000年04月10日
米国勢は当面の石化の需給バランスを楽観
NPRA年次総会、過去最高の4,000人が出席
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:丸紅

 丸紅などわが国大手商社によると、4月2日から4日までの3日間にわたって米国・テキサス州サンアントニオで開かれた「第25回NPRA年次総会」には過去最高の約4,000人が参加、ナフサならびに主要石油化学製品の需給の現状と今後の見通しについて活発に意見を交わした。
 今回の会合では、一般景気の好調の長期化に支えられて好業績を上げている米国の石油化学企業の多くが、今後もしばらく石化製品の需給はウエルバランスで推移し製品市況も堅調を維持するとの楽観的な展望を示した点が注目されるという。
 ただし、他の国からの参加者の見解はまちまちで、中には大幅な設備投資による供給過剰を懸念する発言もあったようだ。
 注目のナフサ価格については、これまでのタイト状況が今年第3・四半期から緩和されて緩やかに下降するとの見方を述べる向きが多かったという。
 商社筋がまとめた主要石化製品の価格の見通しについての米国、欧州、アジア各ブロックの参加者の展望は概ね次の通り。

 [エチレン]
 米国=3月の契約価格は1ポンド当たり1.50セント上がって30.50セントとなった。4月はさらに1セント上がる可能性もあるが、5~6月にはナフサの下落に伴って下降局面をたどることになりそう。欧州=第2・四半期の契約価格は、トン当たり105ユーロ上がって685ユーロとなった。しかしスポット価格は5月から6月にかけて下がっていく見通し。アジア=トン当たりCFR
700ドルドル前後でしばらくは推移するが5月以降は下降局面をたどりそう。
 [SM]
 米国=定修の集中で4月がピークとなる。コントラクト価格はポンド当たり42セント。その後は軟化傾向をたどる。しかし第4・四半期には再び大型定修の影響で上昇する。欧州=当面は米国からの輸入が減少するので当面は高値に張り付く。コントラクトはトン900~950ドルの見通し。その後は米国の動きと連動する見込み。アジア=サウジアラビアの新設備が稼動後はスポット価格が一時的に軟化する。しかしその後は堅調な需要に支えられて徐々に回復する。
 [VCM]
 米国=PVCメーカーの稼働率が上がっておりまた定修の集中もあるため、第2・四半期のコントラクトはポンド当たり28セントという高値にある。今後も需給が緩むことはなくこのため市況が大きく崩れることは考えられない。欧州=定修の集中で第2・四半期のスポットはトン当たり680~700ドルと高い。第3・四半期はエチレンの相場によっては軟化もある。アジア=第2・四半期は、定修の集中や中国のPVC需要の回復などで高水準を維持しており、今後もあまり変化はない。
 [LDPE]
 米国=2月のスポットはポンド当たり4セント上がって55~59セントとなっている。第2・四半期以降も強含みで推移しよう。欧州=現在のスポット相場はトン当たり900~940ドル。今後もさらに5%ていど上がる公算。アジア=4月のスポットはトン当たり780~830ドル。今後は増設ラッシュのせいで弱含みとなろう。
 [PP]
 米国=現在のスポットはポンド当たり38~41セントで第1・四半期に比べて3~5ドル高い。しばらくはこのレベルで推移しよう。欧州=需給がタイトなため現在のスポット価格はトン当たり700~750ドルの高水準。第2・四半期中には5~10%上がる見込み。アジア=スポットはトン当たり620ドル前後と低水準にある。最終製品の価格修正が実現できていないためで、今後も厳しい状況が続くと見られる。