2000年04月05日 |
日本のバイエル、1999年業績は2%増収/67%増益 |
2000年売上高は5%増収が目標~全事業部門で増収 |
【カテゴリー】:人事/決算 【関連企業・団体】:三共、バイエル |
日本のバイエルは5日、都内で記者会見し、1999年業績を発表した。バイエルの日本における売上高は前年比2%増の2,100億円、営業利益は140億円と67%の大幅な増加を記録した。増益の要因は、人員削減によるコスト削減及び効率化策の実施とドイツ・バイエルへの喘息の研究開発ノウハウの売却など。 売上高を事業部門別に見ると、ヘルスケア事業部門は940億円と前年比10%増加した。米カイロン社の診断薬事業買収にともない日本子会社のカイロン社の売上が加わったことで売上高も約90億円増加した。このほか昨年はバイエルが開発した高コレステロール血症治療薬を武田薬品と共同で発売、予想を上回る売上を記録した。また診断薬は政府による3年連続の医療報酬点数改定にともなう検査点数の引き下げを受け、患者数も自己負担引き上げにより減少するなど厳しい環境にあったことから、強力な経営基盤の確立のため、バイエル・三共とカイロンを合併、バイエル メディカルを設立、国内2位の地位を確保するとともに、売上も59%増加した。さらに昨年4月に日本市場に導入した尿自動分析装置「クリニテック500」が高い評価を受け、大きく成長した。 農業関連製品事業部門の売上高は280億円とほぼ前年並みとなった。農薬事業は、国内出荷量が5年連続で減少したにも関わらず、1998年に発売した水稲用製品「ウィンアドマイヤー」のマーケティングの成功などにより売上を伸ばした。一方、動物用薬品事業の売上高は、食肉の需要減や価格低迷、輸入増加など畜産市場の大幅な落ち込みから、予想を下回った。 高分子材料事業部門は、460億円と3%の増収を記録した。主に塗料原料と無機顔料の好調によるものでともに2桁の増収を記録、樹脂の売上減をカバーした。ゴム事業はタイヤメーカーの需要なみの堅実な結果となったが、ポリウレタンは価格圧力を受けた結果前年水準を下回った。無機顔料の好調は、流通システム改革の成功や積極的な販売促進によりシェアを拡大したもの。 化学品事業部門は1999年、11%減の430億円と2桁の減収となった。事業単位別では基礎・精密化学品が導電性ポリマーや太陽電池用シリコンウエハーの急成長により、前年比3分の1強の増収を記録した。H.C.スタルクも携帯電話やノートパソコン、家庭用ゲーム機用のコンデンサー向けタンタル粉末の需要が好調で大きく増加した。しかしスペシャリティ製品は減収、ハーマンアンドライマーはディーラー取引の見直しで目標を下回り、ダイスターも輸出が減少した。 在日バイエルグループ代表で、バイエル株式会社社長であるクヌート・クレデーン氏は、1999年の日本のバイエルにおける主な出来事として、(1)バイエル メディカル社設立および日本アグフア・ゲバルトの独立など日本のバイエル再編、(2)持株会社化、(3)事務管理機能の統合の3点を挙げた。(1)についてはバイエル薬品、日本バイエルアグロケム、住友バイエルウレタンの3社の株式のうち、ドイツ・バイエル社の持分を取得したほか、昨年3月にはバイエル・三共とカイロンの発行済み株式を米バイエル・コーポレーション及び日本の株主から買い取り2社を合併、バイエル メディカル社を設立した。(2)では、バイエル株式会社が持株会社であると同時に、動物用薬品、樹脂、ゴム、着色剤、基礎・精密化学品、スペシャリティ製品の事業会社としても存続する体制を構築した。このほか(3)については、バイエル株式会社が過半数の株式を所有している子会社の財務、経理、情報システム、購買、ロジスティクスなどについて集中管理する体制となった。またグループ会社の人事部門も統合している。 なお、2000年の展望についてクレデーン氏は、「日本のバイエル全体で売上高5%増という成長目標を掲げており、特に昨年不振だった化学品事業部門では11%増、農業関連製品と高分子材料事業部門はそれぞ7%増、ヘルスケア事業部門では4%増を目指す。化学品事業部門はエレクトロニクス関連、なかでもコンデンサー用のタンタル粉末の成長に期待している」と語った。 |