2000年04月04日 |
三菱化学、ハードディスクの生産をシンガポールに集約 |
6月末に水島の設備を停止 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:三菱化学 |
三菱化学は4日、現在水島事業所で行っているハードディスク(HD)の背生産を6月末で停止し、シンガポールの子会社三菱化学インフォニクス(MCI)社に集約する,と発表した。また水島事業所でのHD研究開発についても生産停止後MCIに移管する。 同社のHD事業は、1984年(昭和59年)に直江津事業所、1986年に水島事業所で国内生産をスタート、さらに1997年(平成9年)にはシンガポールのMCIで海外生産を開始するなど、機能商品分野の一翼を担う事業として、規模を拡大してきた。しかし、1998年中盤以降、HD1枚当たりの高密度化にともなう搭載枚数の減少などから販売数量が落ち込み、さらに価格の大幅な下落が加わり、事業の再構築は避けられない状況にあった。 これに対し三菱化学は、生産性および収益性の向上などの諸政策を実施するとともに、1999年3月末には直江津事業所におけるHD生産を停止し、その後も水島事業所の生産体制縮小などの対応策を実施してきた。しかし、HD搭載枚数の減少などによる需要の低迷はさらに進展、また今後も価格の下落は避けがたいなど、事業環境は一層深刻であるため、もう一段の抜本的な収益改善策を至急に実施することが必要と判断した。今回の水島事業所の月産100万枚設備の停止により、三菱化学のHD生産能力は、MCIのみ月産200万枚体制となる。 今後もHD事業を取り巻く環境は厳しいと予想されるものの、一方で数年後にはデジタル家電などの普及によりHD需要が拡大すると見られている。同社は、今回の生産拠点集約で、より徹底したコスト競争力の強化を図り、来るべき需要に備えHD事業の生き残りを目指す。 なお水島事業所のHD生産停止により、これにともなう固定資産の臨時償却などで第6期に60億円の特別損益を計上することにしているが、今後は需要や市況の動向を見ながら、同事業所のHD製造設備をMCIに移設することも検討していく予定。 |