2000年03月24日
呉羽化学、低コスト化追求と市場拡大をテーマにPPS事業強化
次世代技術の開発推進/ポリプラスチックスとの連携で市場開拓
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:クレハ、東レ、ポリプラスチックス

 呉羽化学工業は、重点分野の一つである機能材料事業のうち、PPS(ポリフェニレンサルファイド)事業については中長期的なテーマとして低コスト化の追求とさらなる市場の拡大を掲げ、強化を進めていく考えだ。具体的には低コストな次世代生産技術の開発を推進するとともに、コンパウンドを販売するポリプラスチックスと連携しながら市場開拓を図っていく。
 呉羽化学は1987年よりPPSベースレジンの生産をスタート、以来提携関係にあるポリプラスチックスに供給、ポリプラスチックスがコンパウンドを生産・販売する体制をとっている。PPSは架橋型とリニア型に大別されるが、呉羽化学はより付加価値の高いリニア型の専業メーカーとして、現在の地位を築いている。同社以外のメーカーは架橋型専業、あるいは東レのように両タイプを生産しているメーカーもあるが、今後新増設を実施する際には、いかに低コストなリニア型の生産を実現するかが大きなテーマとなっている。呉羽化学も以前から次世代技術の研究開発を進めているが、低コスト化が最大の課題で、各社が新増設に踏み切ると見られている2003~2004年までには技術を確立したい考え。
 また同社は昨年、水硫化ソーダ設備を稼動させるなど原料からの一貫体制の強化を進めているほか、今年秋にはPPSベースレジンの生産能力を900トン増強、年産5,400トンに引き上げる予定で、当面は償却負担が重いものの、中長期的な視野でコスト削減に取り組んでいる。
 このように低コスト化を追求していく一方で、市場全体の拡大にも取り組んでいく考えだ。コンパウンドを担当するポリプラスチックスとは1997年に事業提携基本契約を更新、対象を日本からアジア太平洋地域に拡大したほか、呉羽化学の機能性コンパウンド開発力を含め両社の強みを最大限に発揮する体制を構築している。今後も呉羽化学としてはベースレジンメーカーの立場から、ポリプラスチックスとしてはコンパウンドメーカーの立場から意見を出し合い、市場拡大に注力していく。
 呉羽化学は、機能性材料、樹脂加工品、農医薬を重点分野に位置付けており、今後もPPS事業は機能性材料分野の大きな柱として積極的に拡大していく方針。