2000年03月21日
塩ビメーカー首脳の間に原料高騰の危機感広がる、早急な採算是正打ち出しへ
現在の原料状況では、業界全体の赤字拡大確実に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:東ソー

 塩ビメーカー首脳の間に原料高騰による採算悪化に危機感が広まってきており、早急な是正に向け、値上げが打ち出される公算が強まっている。
 17日のVECの会見席上で、金川千尋・信越化学社長は「原料であるエチレン、塩素ともに高騰が続いている、当社でも早い機会に価格転嫁をしなければならない。事業部に指示しているが、ナフサ・ガスが待ってくれる訳でなく、早急に価格改定をお願いすることになる。」と述べた。
 田代圓・東ソー社長も「ナフサは瞬間的にC&F・トン280ドルに達するものと思っていたが、現在のような300ドル付近で推移している状況は予想外だった。」
 塩ビは、昨年8月にキロ20円での値上げが打ち出され、年末までに浸透しているが、原料はナフサが昨年2Qのキロリットル14,800円から今年2Qには24,000前後が見込まれている。さらにEDC(二塩化エチレン)も現在はトン400ドル台半ばで推移しており、通常が300ドル平均であることから大きく採算を圧迫している。
 さらに塩ビ業界では、業界全体での収益悪化の長期化が深刻化している。通産省調べのhttp://www.c-nt.co.jp/cgi-bin/passFile.cgi?FILE=data/finance/1999pvc>塩化ビニル樹脂製造業12社の塩ビ樹脂部門の収益調査では、1998年度に全体で148億円の経常損益を計上、1999年上期も86億円の赤字を計上するなど採算悪化が強まっており、現在の原料状況では一段と採算悪化することが確実視されている。
 古田武・鐘淵化学会長は「ユーザー業界のことも考慮して値上げに対しては、OPECの状況を見守り慎重に対応してきたが、現在の原料高は判断を誤ったといわざるを得ない。早く採算是正をしなければ大変なことになる。」と述べている。