2000年03月17日 |
HIPS/ABS樹脂の透明グレード、依然供給不足続く |
スケルトンはあくまでブーム~増産は困難 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:東レ |
HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)およびABS樹脂の透明グレードは、スケルトンブームにより、依然供給不足の状況が続いている。重合時間が長く、生産コストも高いため、増産すると他のグレードの生産に大きな影響が出てくるためだ。また収益環境の厳しい状態が続く中、いつブームが過ぎ去るかわからない透明グレードのために設備投資を実施するのも難しい。 透明グレードは、汎用グレードに比べ1.5倍以上の価格で取引される高付加価値グレード。当初のパソコンおよび周辺機器だけでなく、日用品や玩具にまで広がるなど、最近のスケルトンブームの波に乗って需要は急速に拡大している。最初はABS樹脂が中心であったが、最近ではHIPSの透明グレードへの引き合いも増加している。さらに直接関係ないにもかかわらず、先週タイで発生したタイ・ポリカーボネートの事故後、さらに引き合いが強まっているという。 しかし、透明グレードは汎用グレードなどと比べると、重合時間が長いこと、また透明度を確保するために設備内の掃除も必要で、生産効率が悪くコストも高い。また透明グレードを専用系列で生産しているメーカーはないようだ。スケルトンブームの前からABS樹脂の透明グレードを生産してきた東レは、「ユーザーからは、数多くの引き合いがあるだけでなく、増産を求める声も多い。このため透明グレードの生産には最大限の努力をしているが、すでに他のグレードの生産に若干の影響がでている。設備の増強、増設を求める声も強いが、現在の状況はあくまでもブームに過ぎず、例えば3年後に同じだけの需要があるとは考えにくく、収益環境が厳しい中で設備投資を判断するのは困難である」という。 こうした状況はPSも同様で、近年の業界再編にともない各社とも設備の統廃合を進めてきたため、増産する余地はなく注文には応じることができない。最近は韓国や台湾の一部メーカーも透明グレードに力を入れているが、今後も需給タイトで推移するのは確実で、価格も高止まりの状態が続きそうだ。 |