2000年03月16日
三菱樹脂、連結中期経営計画を策定
2003年に売上1,800億円/経常利益85億円/ROA5.0%
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学、三菱樹脂

 三菱樹脂は16日、2000年4月~2003年3月までの3ヵ年にわたる連結中期経営計画を策定した、と発表した。21世紀に生き残れる企業体質の構築を目標に、「収益」と「クイックレスポンス」を重視した「事業構造の改革」ならびに「意識改革」を実現、2003年3月期には売上高1,800億円、経常利益85億円、ROA(総資産経常利益率)5.0%を目指す。
 同社は、1998年に厳しい経営状況に立たされ、同年6月に不採算事業・製品の見直し、早期退職臨時措置の実施などの諸施策を軸とした経営計画(~2001年3月末)を策定したが、逐次前倒しで実施してきた結果、ほぼ達成の見込みとなっている。しかし、企業経営のグローバル化はさらに進展、同社を取り巻く経営環境も大きくかつ急速に変化していることから、この変化に対応した新たな成長のために、新たに中期連結経営計画を策定したもの。
 同社は、「恒により高い価値を創造し、より豊かな社会づくりに貢献する」ことを企業理念としており、パイプ、水槽などの建設関連から食品包装用フィルム、PETボトルなどの流通関連、工業用プラスチック板などの工業・電子関連まで、広範な市場にプラスチック製品を供給する「総合プラスチック加工業」としての道をたどってきた。しかし、企業経営のグローバル化とともに、(1)IT化、(2)環境問題克服、また(3)ライフスタイルの変化など社会とニーズの変化に対応すべく、製膜・延伸・多層化・複合化などのコア技術をベースに、高度化する市場からの機能・品質要求に応える「高機能商品を提供する企業」を目指す。(1)については、メモリーカードやプリント基板、携帯電話用部材、液晶用部材など、(2)では循環型社会適応製品、環境保全対応製品、非塩ビ製品、(3)食生活の多様化対応、快適生活環境対応などを挙げている。
 今後の事業の方向付けについては、「選択と集中」をテーマとして各事業分野ごとに事業の方向を明確に定め、事業分野別の対応を図る方針で、コア・コンピタンスのある事業分野に経営資源を積極的に投入して拡大策を展開、一方で競争が激しい分野では収益性のある事業への特化あるいは戦略的アライアンスなどの事業展開を進める。特に高機能フィルム、情報電子材料、高機能エンジニアリングプラスチックなどの高機能プラスチック分野をコア・コンピタンスのある分野に位置付けている。
 具体的には事業構造改革では、高機能プラスチック分野を成長分野に位置付け、コア技術を核に積極展開していくため、経営資源を重点的に投入、建設資材分野は基幹事業に位置付け、安定的なキャッシュフローで成長分野を支えるべく、収益力を強化、産業用資材分野は優位性のある事業、収益性のある分野に特化し、資源の傾斜配分を実施する。
 その他のアクション・プログラムとして、財務体質の改善・強化ではROA5.0%を目指し、有価証券・在庫の削減、有利子負債の削減、事業売却、福利厚生政策の見直しにともなう関連資産の売却などを実施する考えで、また新商品開発体制の充実強化として、技術開発センターの設置、冠プロジェクトによる開発責任の明確化、開発営業室(4月1日付で4支社に設置)などにより、最終年度までに新商品比率を30%に引き上げる。さらに営業支援体制強化策として、サプライ・チェーン・マネジメント改革、e-コマースの積極化などIT化に対応していく。さらにレスポンシブル・ケア(RC)活動も推進、主力2工場でISO14001の認証取得(2000年3月取得)やリサイクル活動強化によるゼロ・エミッションの確立、三菱化学グループ各社との連携による安全・環境・リサイクルのRC活動強化などに取り組む。
 このほか意識改革としては、「柔軟で、レスポンスの早い、前向きな雰囲気に満ちた会社」にするため、「全員経営-全員参加の経営、全員信頼の経営、全員競争の経営、全員共有知の経営-」を経営方針として実践している。これに基づく社内の意識改革(制度改革・風土改革)は、事業構造改革と表裏一体をなし、組織の活性化と競争力強化を図る考え。具体的には人事制度を刷新することで、業務実績を重視した成果主義を徹底、組織の活性化と競争力の強化を図るため、社外競争力のあるプロフェッショナル人材の育成と処遇、目標管理制度をベースとした「成果主義」を強化するほか、給与制度の刷新では、給与における年功要素の縮小、職責・成果をダイレクトに反映、時価評価する「役割給」「成果給」の導入、部門業績の賞与への反映などを実施する。また1998年から実施中の事業部評価制度については、事業部ミッションを明確化、更なる競争意識醸成のため内容の充実化に努める。さらに菅澤社長を一とした経営トップとの対話会などを引き続き行い、社内全階層に経営トップの考えの浸透を図る。
 関係会社との連携については、機能別運営として連結子会社31社、非連結会社6社の37社で形成されるグループの連結経営徹底のため、主要子会社(国内4社)を自社の事業部と同等のビジネスユニットに位置付ける一方、販売・製造・物流などの子会社については、機能別に分類してミッションを定め、役割を明確化、事業の一体運営を行っている。また海外拠点展開では、5社の拠点のうち高機能プラスチック分野に属する3社を熱収縮性チューブの供給拠点として、日米欧亜4極最適立地体制を構築、コンデンサー被覆用で約30%の世界トップシェアを有している。
 なお具体的な数値目標などは下記の通り。

[全体数値目標]
          1999/3  2000/3見込  2003/3目標
売上高      1,728   1,670    1,800
営業利益       △13      42      105
経常利益       △30      25       85
ROA(%)       -     2.5      8.5
総資産      2,050   1,980    1,800
有利子負債残高    956     880      650
人員数(名)   4,441   4,300    4,200

[事業分野別売上高および営業利益]
          1999/3  2000/3見込  2003/3目標
高機能プラスチック
売上高        602     605      700
営業利益         9      21       56

建設資材
売上高        745     722      750
営業利益        19      26       36

産業用資材
売上高        300     265      270
営業利益       △43      △9       10

その他
売上高         80      78       80
営業利益         2       4        3

[設備投資額]
          設備投資額(億円)     構成比(%)
高機能プラスチック      125         56
建設資材            60         27
産業用資材           30         13
その他             10          4
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合計             225        100