2000年03月13日
日本ゼオン、水島でCOPを2,000トン増強
5,000トン体制構築/用途開拓進み需要増に対応
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:日本ゼオン

 日本ゼオンは13日、熱可塑性高機能樹脂COP(シクロオレフィンポリマー)「ゼオノア」について、今年4月をめどに水島支社(岡山県倉敷市)において2,000トン増強、生産能力を年産5,000トンに引き上げる、と発表した。新規用途開拓を進めた結果、TFT液晶ディスプレイ用導光板や自動車ヘッドランプ部品のエクステンションなどの用途で本格採用が開始したほか、その他の分野でも採用の具体化が進展しており、現体制では近い将来不足すると判断したもの。
 同社は現在、水島支社において高機能タイプの「ゼオネックス」とあわせ年産3,000トン設備を操業、1999年度の売上高は両製品をあわせ約30億円を見込んでいる。また2001年度には75億円の販売を目指しており、今回急増する需要に対応して増強を決定した。
 新規用途開拓のうち、TFT液晶ディスプレイ用導光板については、世界的な液晶ディスプレイメーカーである韓国の三星電子が、14.1および15インチLCD導光板材料として日本ゼオンのCOPを初めて採用、2月から量産を開始している。同社は約2年前から国内外のLCDおよびバックライトメーカーに紹介、試作評価を進めており、現在はLG、フィリップス、現代電子も採用を決定、製品開発を急いでいる。また国内ではエンプラスが採用を決定、その他各社も採用検討が最終段階を迎えているという。従来導光板にはアクリル樹脂が用いられてきたが、ノートパソコンにおいては軽量化、大型化、薄型化のニーズが強く、COPが期待されている。今後はさらに15~17インチクラスの射出生計タイプのモニター用導光板への採用を目指す方針。
 一方で、自動車ヘッドランプ部品のエクステンションへの採用も始まった。自動車ランプはメインライトとサブライトの2つで構成されているが、この両方をつなぎ包み込む部品がエクステンションで、メインライトに対しては額縁として、サブライトについては光反射鏡としての役割を果たす。昨年夏には大手自動車ランプメーカーの市光工業がゼオノアの採用を開始、昨秋同部品を採用した乗用車が発売されている。日本ゼオンは、この採用を通じエクステンション用材料への展開を確信、他の大手自動車ランプメーカーへの採用促進のため本格的な市場開拓に入った。COPは従来のポリブチレンテレフタレート(PBT)とPET(ポリエチレンテレフタレート)の混合物、やPC(ポリカーボネート)に比べ、耐高熱性、高流動性、低比重、非結晶性樹脂の特徴を活かした低成形収縮率、アルミニウムの直接蒸着が可能、得られた蒸着面のゆらぎがなく外観に優れる、などの点が優れていると見ており、COPを同用途の主流材料として育成していく考え。
 なお同社は、1990年に世界初のCOPとしてゼオネックスを上市し、1998年9月には高透明性を維持しつつ、耐衝撃性と耐熱性を改良、かつ価格を抑えたゼオノアを上市している。