2000年03月07日 |
旭化成、近く奇美実業とのPC合弁設備建設に着手 |
2001年4月完成/10月操業開始~ディスク中心に供給 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:旭化成、バイエル |
旭化成工業は、昨年11月に発表した台湾・奇美実業との合弁によるPC(ポリカーボネート)事業化計画について、近く第1期5万トン設備の建設に着手する。2001年4~5月完工、10月の操業開始を予定しており、台湾初のPC設備として、国内の光ディスク向けを中心に供給する。 今回の計画は、事業化にともない合弁会社「旭美化成」(旭化成49%、奇美実業51%出資)を設立、台南県にある奇美実業の工場敷地内に年産10万トン含みの新設備を建設するもの。プロセスには、旭化成が長年研究を進めてきたメルト法を採用する。メルト法は、猛毒物質のホスゲンや塩化メチレンを使用しない環境面に配慮した製法で、プロセスがシンプルなほかホスゲン法に比べ1系列あたりの生産規模を大きくすることができるため、コスト的にも有利な製法として注目されている。 今後のスケジュールについては、敷地内の一部について農地からの変更申請の認可が間もなく下りる見通しで、近く建設に着手、2001年4~5月に完工、同年10月からの操業開始を予定している。また原料の一つであるBPA(ビスフェノールA)については、台湾のほか海外から調達するめどを付けている。 同社のメルト法は、ホスゲン法と違いプロセスに塩素を含まない製法であるため、塩素を嫌う光ディスク向けグレードの生産に向いている。このため製品の供給は70~80%が光ディスク向けになると見ており、光ディスクの一大生産拠点である台湾国内がメインの市場となる。また今後はCDおよびCD-ROMに加え、DVDの普及が進めば需要の拡大が加速すると見られている。このため第1期の5万トン設備は早期にフル稼働となることが予想され、状況次第では第2期となる倍増設のスケジュールも早まる可能性が高い。 その他の分野については、両社ともABS樹脂やPS(ポリスチレン)を手がけていることからPC/ABSアロイをはじめとしたポリマーアロイ、またメタアクリル樹脂シートとの関連でPCシートの事業化などが考えられるが、アロイについては旭化成がGEプラスチックスやバイエルの特許に抵触しない技術を確立している。一方、PCシートについては、ディスクとアロイ向けの販売状況によるものの、余力があれば生産を検討する。 なお現在PC事業は、化成品樹脂事業部門の新事業開発室で進められているが、動向を見極めた上で近い将来は機能樹脂・レオナ事業部門を含め最適な体制を検討していくことになる見通しだ。 |