2000年03月03日
三菱商事、メキシコ新規塩田計画の中止を決定
地域全体の環境価値変化の可能性を重視/既存塩田への影響はなし
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三菱商事

 三菱商事、メキシコ政府及び両社の合弁会社ESSA社(三菱商事49%、メキシコ商工省51%出資)は3日、メキシコのサンイグナシオ地方で計画していた新規塩田プロジェクトの中止を決定した、と発表した。
 これまで三菱商事は、新規塩田について「環境影響評価を実施中であり、同調査で、本プロジェクトが環境に影響を与えるものでないとの結論が下されない限り、計画に着手しない」、との立場を繰り返し表明してきた。今回の決定は、先頃完成した環境影響評価でプロジェクトが鯨を含む環境に影響を与えないことが科学的に証明されたものの、ユネスコをはじめとした複数の責任ある団体が、新規塩田の建設により現状の景観が変貌することにともない、地域全体としての環境価値が変化することに対し強い関心を示しており、この問題をメキシコ政府、ESSA社及び同社が重視し、環境に関する極めて高次元の判断を行なったことによるもの。
 ESSA社は今後も、西半球野鳥保護ネットワーク、アメリカ野鳥保護会やその他の環境団体などとともに既存塩田を中心にゲレロネグロに形成されている豊かな生態系の更なる充実へ努力を傾注していく方針で、三菱商事はESSA社の株主として、メキシコ政府とともに、これらESSA社の活動方針を支援していく考え。また、今回の新規塩田開発計画を中止する決定が既存塩田の現生産に影響することは無く、今後とも製品は安定的に供給されるという。
 なお、ESSA社は、メキシコのバハカリフォルニア南州ゲレロネグロで1955年から塩田を操業、1973年に三菱商事が買収、1976年に現在の株主構成となっている。生産量は年間約700万トンで、このうち約半分を主に工業用塩として日本向けに供給、日本の工業用塩需要約700万トンの約5割、食用を含む日本の塩需要の約4割を占めている。