2000年03月01日
プラ協、樹脂加工製品のLCIデータまとむ
フィルム、射出品などの加工エネルギー消費小さい
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会

 プラスチック処理促進協会は29日、同協会がプラスチック関連団体の協力で収集したプラスチック加工製品のライフサイクルインベントリー(LCI)データを発表した。
 これは、主要プラスチック加工製品の成形加工段階における消費エネルギーや環境負荷の実態を調査したもの。対象製品はインフレーションフィルム(5種類)、キャスティングフィルム(3種類)、二軸延伸フィルム(1種類)、射出成形品(5種類)、中空成形品(3種類)、インジェクションブロー成形品(2種類)、発泡スチロール(EPS)型物成形品(1種類)、同シート成形品(2種類)--の各種汎用加工製品。プラスチック加工製品に関するこのような総合的なLCIデータの取りまとめは世界でも初めて。
 それによると、製品の種類によってエネルギー消費や環境負荷の構造がかなり異なることが明確になったとしている。フィルム、射出成形品などは製品重量単位当たりの加工消費エネルギーが小さく、またEPS製品も体積当たりの消費エネルギーは少ないことが判明した。しかし、中・大型の中空成形品やインジェクション製品は逆に大きな値になっているという。
 こうしたLCIデータの調査の持つ意味について蕨岡達慈・同協会専務理事は「循環型社会において様々な問題を論議していくに当たっては、プラスチック業界自身がプラスチック製品の加工に際しての消費エネルギや環境負荷がどのていどのものなのかをできるだけくわしく掌握し、世間に実態を知ってもらうようにするこも極めて重要だ。その点で今回の調査は大きな意味を持つ」と説明している。
 主要加工製品の加工消費エネルギーに関する調査結果の概要は以下の通り。
 ▽フィルム=工程が簡素化されているため1キログラム当たりの消費エネルギーは1,300~2,200Kcalと小さい。ただし延伸工程が存在するOPPなどは5,300calとなっている。
 ▽射出成形品=おおむね2,000~3,000Kcalとなっている。
 ▽中空成形品小型ボトルは1,600Kcalと小さい。しかし、中・大型機で成形される灯油缶などの場合は6,900Kcalと大きい。
 ▽飲料用PETボトル=2段成形法なので4,500~6,200Kcalと比較的大きい。
 ▽EPS発泡成形品=蒸気による加熱融着方法なので、14,500~16,200Kcalと大きな加工エネルギーが必要となる。ただし、同製品は50~60倍の高発泡製品なので製品の体積当たりのエネルギー消費量は非常に少ないと言える。
 ▽PSPトレー=原反とトレーの2段階成形品であるため4,600Kcalとなっているが、高発泡製品なので同じく体積ベースでの消費エネルギーは小さい。