2000年02月23日 |
チバSC、1999年度業績は7%の増収を記録 |
第1四半期中にポリマー事業部の売却を完了予定 |
【カテゴリー】:人事/決算 【関連企業・団体】:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ |
チバ・スペシャルティ・ケミカルズは23日、1999年度のグループ業績を発表した。 売上高は、スイスフランベースで7%増の89億7,200万スイスフランを達成、現地通貨ベースで5%増加した。特に年度下半期は11%と高い伸びを記録した。収益改善のため1999年初めにスタートした全社的なプロジェクトが業績改善に大きく寄与した結果となった。コスト削減も1億5,000万スイスフランと目標を達成したほか、営業利益は6%の増収した。また好業績と効果的な資産管理の結果、キャッシュフローは51%増加、リストラクチャリングに関する特別費用計上前のキャッシュフローは、1998年度の8億4,300万スイスフランに対し、12億7,700万スイスフランを記録した。 売上高について、大1四半期の伸びは緩慢だったものの、その後は売上数量が6%増加するなど、特に伸びが顕著だたった添加剤事業部を中心に順調に推移した。下半期に入ると価格下落の圧力も弱まり、いくつかの製品で値上げに踏み切った。グローバルに見ると、アジア地域における経済の回復と年後半の欧州における景気上昇の波に乗ることができた。ただしアジア地域での売上は増大、南北アメリカ地域ではスイスフラン、現地通過ベースとも堅調だったものの、欧州では後半の立ち直りだけでは年初からの売上不振をカバーできず、売上は伸び悩んだ。 売上総利益マージンは、価格の下落による影響を、数量増およびプロダクトミックス(製品構成)の改善により補った結果、売上高の29.7%から30.4%へとわずかながら増加した。営業利益はリストラ策の成功と利益増大策により改善されている。目標としていた1億5,000万スイスフランのコスト削減達成が大きく、社員数も2万4,456人から2万3,189人へと削減している。一方で、イノベーションに注力するという方針は変わっておらず、研究開発費には引き続き3億5,000万スイスフランを投入していく。 今期の業績は、非営業項目の影響を受けており、その例として同社が投資しているヘクセル社当年度利益が減少したこと、また1998年度は保健の一時金があったことなどが挙げられる。このためEBITDA(金利、税、減価償却費計上前利益)は、売上高の16.1%から14.9%に縮小、営業利益も7億9,000万スイスフランに減少した。また純利益は、1998年度にあったはリストラ費用計上による損失から一転、1999年度は3億2,500万スイスフラン(一株当たり4.89スイスフラン)となった。 なお営業以外の項目を除くと、営業利益は7億6,200万スイスフランから8億700万スイスフランと6%増加、EBITDAも3%拡大したことになる。 なお同社は、1999年度上半期中にポリマー事業部のリストラおよび戦略的な業務の見直しを完了、今期業績ではEBITDAの改善に大きく貢献した。昨年12月にモルガン・グレンフェル・プライベート・エクイティとの間でポリマー事業部を18億4,500万スイスフランで売却することで契約を交わしており、今年第1四半期中には付随する諸契約の締結、合弁会社の持株などを含む資産の譲渡、欧米を中心とした関係省庁の認可などを含め手続きを完了する予定。これは同社がスペシャルティ製品の中でも、より高付加価値の化学品に特化していくという戦略に沿ったもので、同社の売上で成長性の高い事業は3分の2を占め、全社の資源と資本支出の3分の2を投入している。 1999年度下半期の業況改善を受け、2000年度も業界はさらに上向くと予測しており、同社の経営陣は世界市場が約3%成長すると予想している。継続中のリストラおよび利益増大策、ならびに資産管理・購買管理の徹底、資本支出の抑制などにより、利益率とキャッシュフローの大きな改善を期待しており、同社は2000年度も市場の成長を上回る売上、利益率の増加を見込んでいる。EBITDAマージンは16~17%を目標としており、利益率の改善により、EBITDAの目標値は中期的には2002年までに18~20%を達成する見通し。 なお日本での売上は、グループの売上を含め592億円と約1.0%増加した。 財務情報概要※1(単位百万スイスフラン) 1999年 1998年 売上高 8,972 8,423 営業利益 790 (270) 純利益 325 (739) 一株あたりの基本 4.89 (11.15) および希釈利益 ---------------------------------------------------- リストラおよび特別損失計上前財務情報※2 営業利益 790 877 税引前利益 487 505 純利益 325 369 一株当たりの基本 4.89 5.57 および希釈利益 営業活動からの 1,227 843 キャッシュフロー ---------------------------------------------------- 資本支出 292 459 研究開発支出 305 304 年度末社員数 23,189人 24,456人 ---------------------------------------------------- 売上高成長率 6.5% 7.7% 同現地通過ベース 5.4% 11.2% EBITDA 1,306 1,356 EBITDA 14.6% 16.1% マージン 資産回転率 0.83 0.83 ※1…米国会計基準の要望により、ポリマー事業はアニュアルレポートにおける連結財務諸表やマネジメントディスカッション、分析においては非継続の事業とみなされる。上記の表は、昨年度の全ビジネスを表しているため、ポリマー事業部を含んでいる。 ※2…1998年の数字は、1998年4月のアライド・コロイズ社買収に付随する進行中の研究開発費コストの償却費10億1,200万スイスフランを含むリトラと特別損失に関する11億4,700万(税引後11億800万)スイスフランを除いている。 |