2000年02月22日
東レ、退職給付債務等を前倒しで処理/業績予想を下方修正
来期以降の増収・増益基調を確実化
【カテゴリー】:人事/決算
【関連企業・団体】:東レ

 東レは21日、2000年3月期決算において、連結、単独ともに退職給付債務を一括償却する決算方針を決定した。また、同時に時価会計の導入に対応、子会社販売用不動産等の評価損を特別損失として計上する。さらにこれにともない、中間決算発表時に公表した業績予想を修正した。
 東レと東レグループは、1997年4月に策定した長期経営ビジョン「New AP-G2000」のもと、「自助努力による収益体質の強化」、「グローバルな事業拡大」を経営戦略の基本とし、収益性と成長性を同時に追求する経営を推進している。今回、退職給付債務および販売用不動産等の会計処理を国際的な会計基準に適合する形で明らかにすることにした背景には、こうした収益性と成長性を同時に実現する経営戦略の基本方針に沿って、ますます加速しつつある世界経済の構造変革に対して、より機動的に対応していくためのものであると説明している。
 2000年3月期の退職給付債務等の前倒し一括処理については、ボーダーレスな事業環境の中で競争がますます厳しくなっており、こうした経営環境の下、今後着実な業績向上を図るためには、新会計基準導入等による経営の負担を早期に軽減し、機動的に経営を行う体制の整備が重要と判断、その趣旨に沿って、来期から適用される新退職給付会計、時価会計の導入等に対応し、前倒しで会計処理することを決定した。同社では、これにより経営の実態をより明確に開示し、来期以降、増収・増益基調をより確実にすることができると考えている。(※1参照)
 こうした中、来期は複合材料事業の回復は遅れるものの、(1)欧米のフィルム関連の子会社における用途転換推進等による利益改善、(2)中国(南通)の3子会社や、その他海外繊維関係会社の収益大幅改善、(3)当期に子会社となった東レセハン社(韓国)の本格的な業績への貢献、(4)カラーフィルター等の拡販による電子情報機材事業の黒字化、(5)住宅・エンジニアリング事業の黒字化、などにより連結・単独決算ともに増収・増益となる見通し。中期的には繊維、フィルム事業におけるグローバル・リエンジニアリングを推進、収益拡大を目指す。
 中期的には、ここ数年の戦略的設備投資の成果を十分に取り込みながら、繊維およびフィルム事業の「グローバル・リエンジニアリングの推進」と、さらなる「トータルコスト・ダウンの徹底」「低収益事業の再構築あるいは縮小・撤退」等の成果を収益向上に結びつけていく方針。
 1999年11月12日の中間決算発表時に公表した2000年3月期(1999年4月1日~2000年3月31日)単独および連結の業績予想について、退職給付会計および時価会計に関する会計制度改正に前倒しで対応することなどを主体に、下方修正した。連結については、A.来期の新退職給付会計適用に伴う会計基準変更時差異に相当する額(前提割引率3.5%)の債務計上(特別損失1,050億円、税引後損失640億円)、B.子会社の販売用不動産等の評価下げ(特別損失120億円、税引後損失70億円)等によるもの。一方単独は、単独業績予想の修正は、A.退職給付債務の計上(特別損失840億円、税引後損失490億円)B.子会社販売用不動産等評価下げに伴う東レ保有株式の評価下げ(特別損失120億円、税引後損失70億円)等による。また当期の連結・単独事業業績についても下方修正を実施している。業績予想の修正値は以下(※2)の通り。

※1<退職給付会計基準変更時差異>
(2000年3月末時点の試算・前提割引率3.5%)
   退職給付債務 年金資産残高 退職給与引当金 会計基準変更時差異
連結  3,250  1,800     400     1,050
単独  2,540  1,420     280       840


※2<業績予想修正>
修正値(前回予想)増減額の順(単位億円)
[連結]
売上高 990,000(1,030,000)△40,000
経常利益 24,000(34,000)△10,000
当期純利益 △65,000(12,000)△77,000

[単独]
売上高 51,000(51,000)△30,000
経常利益 25,000(30,000)△5、000
当期純利益 △44,000(17,000)△61,000
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