2000年02月14日
三井化学、中国向け引き合い急増で昨年のPTA輸出量は30万トンに
安定的な取引を、需要見合いでの生産は継続
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、PTA(高純度テレフタル酸)の中国国内市場の成長による引き合い増加から、昨年の輸出量は前年から倍増し30万トンに達した模様だ。
 同社は国内では岩国大竹工場に3系列年産56万トンのPTA設備を持つが、アジアではインドネシアにアモコミツイPTA35万トン、タイでサイアムミツイPTA35万トン設備を有している。
 PTAはポリエステルバブルの崩壊、アジア経済混乱などにより一昨年から需要・市況が低迷が続いており、同社でも市況改善のため需要見合いでの生産体制をとってきている。昨年はタイの設備が2月に本格稼動を開始したことにより、日本からの輸出切り替えを完了、4月から岩国の2号機設備を1年間稼動休止する予定にしていた。
 しかし、当初の予測を大幅に上回り中国国内のポリエステル生産が好調に推移、同社へのPTA引き合いも増加したことから、契約ベースでの取引が急増し、設備の休止を中止したもの。この結果1998年実績である15万トンから、昨年は30万トンと大幅に輸出量が増加したもの。
 中国では、政府当局の国内ポリエステル産業保護、重合設備の新増設などにより、1998年のPTA総需要230~240万トンが1999年には300万トンを超えたとされている。このため昨年のPTA輸入も150万トン程度であったものと見られており、急速な需要拡大が続いている。
 同社でも、安定的な顧客として中国ユーザーを位置付けており、今年についても新増設が計画されていることから、引き合いがあれば状況により判断し、輸出を行っていくことになるとしている。
 しかし、市況の低迷による採算の悪化が続いていることもあり、需要見合いでの生産体制を継続することになるとして、一方的な売り込みは行わないとしている。