2000年02月01日
PSの国内需要構造に変化~電機・工業用は減少/包材向けが拡大
1999年は包装材料向けシェアが過半数レベルに
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 PS(ポリスチレン)の内需は、かつて主力であった電機・工業用が減少傾向にある一方、食品向けを中心とした包装材料向けが伸び、今では全体の過半数を占めるようになっている。また各用途の中でも構造の変化が進んでいるようだ。
 A&Mスチレンがまとめた1988~2000年の国産品内需の推移はhttp://www.c-nt.co.jp/news/PS1988-2000.html">表記の通り。1990年と1999年の用途別シェアを比較すると、電機・工業用が39%から26%に低下する一方、包装用は26%から37%、FS用は17%から20%に拡大している。家電などの生産が海外にシフトが進んだ一方で、食品向け主体に包装材料の需要が順調に拡大してきたことが分かる。
 同社によるとテレビ、VTR、同カセット、AV機器、エアコンといったいわゆる汎用家電製品に用いられるPSの使用量は、1990年には合計で26万3,000トンであったが、1999年には8万7,000トンまで減少している。現在は、これだけの落ち込みをプリンターなどのハウジングやトナーカセットの筐体などOA機器向けの成長がやや補っている状況にある。
 これに対し包装用は、OPS(二軸延伸PS)、ソリッドシート、乳酸菌飲料向け(ヤクルトなど)、射出成形(プリン容器など)の用途があるが、射出向けはやや減少、ソリッドシートや乳酸菌飲料向けは横ばいで推移している一方、OPS向けの使用量は1990年の9万2,000トンから1999年には15万2,000トンに拡大している。
 さらにFS用のうち約7割が食品トレーなどに用いられるPSP(ポリスチレンペーパー)と推定され、この比率は現在もあまり変化していない。このため包装用にPSP向けを加えた包装材料の需要は、1990年の39万トン(うちFS用におけるPSP向けは約12万トン)から、1999年には約52万トン(同約14万4,000トン)に拡大している計算になる。
 このように電機・工業用の成長がそれほど期待できない一方で、包装材料用途をいかに育成していくかが、今後の焦点となる。食品容器の市場では、ポリオレフィン系素材と競合する部分もあるが、PS系素材は12~15バイト高発泡が可能(ポリプロピレンでは2~3倍程度)である点に優位性がある。ただし、耐熱性や耐油性の面では、ポリオレフィン系に劣るため、この辺りが現在の研究課題となっている。

http://www.c-nt.co.jp/news/PS1988-2000.html">PS国内用途別需要推移(表・グラフ)