2000年01月27日 |
電気化学、窒化ケイ素回路基板の高熱伝導グレードを開発 |
熱伝導率100W/mKと従来比1.5倍 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:電気化学工業 |
電気化学工業は27日、窒化ケイ素回路基板で従来の基板に比べ熱伝導率を1.5倍以上に高めた新基板の開発に成功した、と発表した。 同社は、窒化アルミニウム回路基板「デンカANプレート」、窒化ケイ素回路基板「デンカSNプレート」などのセラミックス基板の製造販売を行っている。これまで窒化ケイ素基板は、強化アルミニウム基板に比べ機械的特性は格段に優れているものの、熱伝導率が低いことから、限定した用途にしか使用できず、熱伝導率の向上が強く望まれてきた。窒化ケイ素は、材料のねばり強さを示す破壊靭性値がセラミックスの中で非常に高いため、この機械的特性に高熱伝導性を付与することで、高い信頼性と軽量化を兼ね備えた基板を実現できることから、高信頼性が要求される電気自動車や電鉄など向けのパワーモジュール基板用に新たな展開が図ることができると期待している。 今回開発した高熱伝導窒化ケイ素基板は、100W/mKの熱伝導率(従来は70W/mK)を有し、原料粉末メーカーとして長年蓄積してきた窒化ケイ素粉末の製造技術と高熱伝導性の発現が可能な焼成技術および回路形成技術を活用して製品化に成功したもの。また今回の100W/mKグレードの開発を足がかりに、130W/mKまでのさらなる熱伝導率のアップに取り組み、基礎要素技術から量産要素技術の検討に移行する段階にある。これら高熱伝導グレード開発の技術的成果については、今年5月に名古屋で開催される第7回セラミックプロセッシング科学国際会議で発表する予定。 パワーモジュール用部材は電気化学の重点戦略製品の一つであり、各種パワーモジュール用回路基板、ボロンナイトライド放熱板、放熱シート、シリカ/ボロンナイトライド等のフィラーなどを製品化、絶縁性と高熱伝導性を中心とした様々なサーマルマネージメントビジネスを展開していく方針。特にパワーモジュール用基板では、トップメーカーとして金属ベース回路基板「デンカHITTプレート」、セラミックスベース回路基板「デンカANプレート」、「デンカSNプレート」を順次開発、小電力から大電力まで広範な用途に対応している。 |