2000年01月25日
AN大型定修控え、各社安定供給に危機感広がる
在庫レベル低水準続く、市況も一段と強含み
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:旭化成、三菱化学

 AN(アクリロニトリル)は、昨年11月の大手メーカーのプラントトラブルを発端として現在も玉タイト感が続いているが、3月以降は相次いで大型定修が予定されていることから、各社では安定供給のため玉確保に追われている。
 AN需要は、国内ではABS樹脂向けに引き合いが回復、ファイバーも堅調に推移していることから前年を大きく上回る引き合いが続いている。海外では、昨年春先の市況低迷から一部メーカーがプラントを停止するなどする中、秋以降の需要の盛り上がりにより需給バランスが急激にタイト化が進んでいた。こうした状況から、現在も在庫が積み上がらない状況となっており、大型定修を控えて各社に危機感が広がっているもの。
 3月から5月にかけては、日本では旭化成、三菱化学が、韓国の泰光産業、台湾CPDCなどが定修を実施するが、商社筋では安定供給に支障がでる可能性もあるとしている。現在のANのアジア市況は、CFR・トン800~820ドルが実勢であるが、原料の高騰もあって一段と強含みで推移することが予想されており、900ドルを越える公算が強いと見られている。
 こうした玉不足感は今年前半いっぱい続くとされているが、後半については台湾FPC、米国ソルーシアなどの新設備稼働が控えていることもあり、需給バランスは改善の方向に向かうとされている。