2000年01月24日
日本ゼオン、徳山工場の重合法トナーを500トン増強
1,500トン体制/2001年度に売上高30億円へ拡大
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:日本ゼオン

 日本ゼオンは24日、レーザープリンターのインクとして使用される重合法トナーについて、2000年6月に徳山工場(山口県徳山市)内の設備を500トン増強、1,500トンに引き上げる、と発表した。需要の増大に対応するもので、2001年度に売上高30億円規模を目指す。
 同社は1998年3月、重合法トナー技術を応用してトナー粒子の内部と外部の軟化点を変えた「マイクロカプセル型トナー」を開発した。これにより、現在一般に用いられている粉砕法トナーよりも約30度低い温度で紙への定着が可能な「低温定着トナー」の開発に成功している。
 低温定着トナーは、現在レーザープリンターに求められる省資省エネおよびプリントの高速化という市場ニーズを満たす製品。低温で紙に定着するトナーであれば、定着装置における電力消費を少なくできるため地球環境保護に貢献でき、また短時間で定着可能なため高速印字が可能となる。トナーは、約10マイクロメートル程度の粉状物で、製造法は粉砕法と重合法に分けられる。重合法は粉砕法に比べ7マイクロメートル以下の微細な粒子を容易に造れる、また出来上がった各粒子の粒径および組成が均一であるため、印字性能に優れ、綺麗な画質を得ることができる。このため夢のトナーといわれ、各社が開発を進めていた。日本ゼオンは、長年にわたって培ってきたポリマー技術を駆使し、1993年に世界で初めて上市、1995年には徳山で年産1,000トンの商業プラントを稼働させている。
 同社は、これらの優秀な性能を有した重合法トナーの拡販に注力しており、すでに沖データ(沖電気の全額出資子会社)に採用されたのを手始めに、その他納入ユーザー数も含めた増加にともない販売量も増加しており、さらなる造反が見込めることから増強を決定したもの。
 同社は、低温定着の重合法トナーが市場で高く評価されるようになってきたことを受けて、今後も重合法トナーの粉砕法トナーに対する性能的な優位性の理解に対する普及を広め、積極的に市場展開していく方針。