2000年01月14日 |
旭化成、ノンハロゲン難燃ABS樹脂を開発・上市 |
ABS樹脂で初のV-0取得/今月から本格販売へ |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:旭化成 |
旭化成工業は13日、米国UL(アンダーラボラトリーズ)規格のV-0を取得したABS樹脂「スタイラックVN80」を開発、今年1月から本格的に上市する、と発表した。一昨年業界に先駆けて取得・上市したV-2グレード「スタイラックVN30」に続くもので、2001~2002年には年間2~3万トンの販売を目指す。 今回の新グレードは、環境・製品安全の要請の高まりに対応したもので、米国ULのV-0規格をはじめ欧州の各種製品安全規格を満たしている。さらに、アロイではなくABS樹脂単品のため、リサイクルも容易で、さらにABS樹脂特有の成形性の良さを保持しておりいることから、コストメリットも十分期待できる。 難燃ABS樹脂はOA機器や電気機器等のハウジング等に使用されているが、従来は難燃性を確保するためにハロゲン系難燃剤を使用されていた。しかし、環境・安全への意識の高まりとともにハロゲンを使用しない樹脂のニーズが高まっている。その一方で、市場ではここ2~3年でノンハロゲン化の動きが急速に進展、PC(ポリカーボネート)とABS樹脂のアロイ等に先行され、約9万トンの難燃ABS樹脂市場のうち3万トン前後を失っているのが現状。 こうした状況に対応して同社は、昨年V-2グレードの「スタイラックVN30」を上市していたが、さらにV-0をみたすハロゲンを使用しない難燃グレードの開発を求める声が強く、長年スチレン系難燃樹脂(PS・ABS・ザイロン)で培った幅広い技術をベースに、従来とは異なる発想の難燃剤を採用することで開発に成功したもの。 スタイラックVN80は、(1)ハロゲン系難燃剤・三酸化アンチモンを使用していないため環境にやさしく、高い水準を要求されるドイツのブルーエンジェルマークや、スウェーデンのTOC等欧州安全規格をクリア、(2)優れた熱安全性を保持(成形機内のような高温滞留時での熱安定性は、ハロゲン系のものに比べて著しく改善されており、品質安定性(耐変色性等)に優れる、(3)優れた成形性(ブリードアウトしない難燃剤を使用しているため、成形加工時にモールド・デポジットの発生が少なく金型汚染を改善、また、単品のABS樹脂のため他のアロイ系樹脂より流動性がよく、生産性が向上)、(4)難燃性は米国UL規格V-0に適合、(5)アロイ品に比べリサイクルが容易、などの特長を有している。 |