2000年01月14日
帝人、初の中期連結経営計画「前進2000」を策定
2002年にROA7.6%/FCFは累計800億円目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:帝人、デュポン

 帝人は13日、中期連結経営計画「前進2000」を策定した、と発表した。連結ベースとしては同社初の中計で、グループとしての経営目標として、最終年度の2002年にROA(総資産営業利益率)7.6%、フリーキャッシュフロー(FCF)は2000~2002年度の累計で800億円を掲げている。
 今回の中期計画について、経営のキーワードはProfitable Growth/Global Management/Group Managementであり、利益ある成長の追求、国際化に対応した経営の推進、連結経営体制の再構築と強化、株主重視の経営、社会倫理に合致した経営、地球環境重視の経営を基本方針としている。また中期基本戦略として、ポリエステル繊維とポリエステルフィルム事業は世界最大規模を基盤とした競争力の強化、PC(ポリカーボネート)事業は世界ナンバー3の地位を目指す、アラミド繊維と炭素繊維事業はグローバル市場を対象に戦略事業として強化、医薬医療事業は中期1,000億円、長期2,000億円の売上高目指した積極拡大、情報技術、バイオなどの新事業探索などに取り組んでいく。
 経営環境の面では(1)国際的な株主の要請に応えられる経営、(2)世界市場の単一化とブロック経済への対応、(3)高齢化社会への対応、(4)情報技術、バイオなどによる21世紀事業革命への対応の4点を挙げている。すでに(1)ではアドバイザリー・ボードの設置や社外監査役の強化、取締役削減、執行役員制度の導入などを進めており、(2)についてもポリエステルフィルムおよび同繊維で合弁によりグローバルにてんっかいしつつある。また(3)では看護ビジネスへの参入、(4)についてもCMO(Chief Marketing Officer)とCTO(Chief Thecnology Officer)を中心に検討を進めている。
 今回の計画策定の目的は、(1)「21世紀に世界で存在感のある企業グループ」となるための3年後の経営目標指標の設定、(2)経営目標指標達成のためのアクションプランの策定となっており、(1)については連結経営重視に基づきグループ全体・各社・各事業共通の指標として、資産効率とキャッシュフローを重視した経営の必要性からROAとFCFを採用することにした。さらに(2)については、グループ全体、各関係会社および各事業で、組織の末端までブレークダウンされたアクションプランを作成、実行する考え。
 経営目標は下記のとおりだが、中計期間中の環境と前提条件について、事業環境としては厳しい状況が続くことを前提に市況の回復は織り込まず、また為替は1ドル=105円、金利は長期3.5%、短期1.5%とした。
 またプロジェクト効果については、現在実行中の国内外企業とのアライアンスなど、アクションプランの明確なプロジェクト効果のみを算入する。具体的には内外ポリエステル繊維事業の収益性の改善、東邦レーヨンへの資本参加による炭素繊維事業への進出(2000年度から連結子会社化の予定)、ポリエステル長繊維のNAFTA(北米自由貿易協定)市場におけるアライアンス(メキシコ アクラテイジン設立:1999年度から持分法子会社、アクラテイジンと米デュポンとの合弁:2000年度から持分法子会社化の予定)、米デュポンとのポリエステルフィルム事業統合(世界7カ国で合弁設立:2000年度から3社が連結子会社化、4社が持分法子会社化の予定)、シンガポールにおけるPC新工場建設と増設(1999年央年産6万トン、2000年秋2万トン、2001年央5万トン)、新薬の上市と新規在宅医療の拡大などがある。

◆帝人グループの経営目標
 ROA:2002年度目標7.6%
 FCF:2000~2002年度累計目標800億円
(注)税後ROA(総資産当期純利益率):2002年度に3.1%
   ROE(株主資本当期純利益率):2002年度に8.3%

▽事業別ROA
             1999年度見通し 2002年度目標  改善度
 繊維           1.6%    7.4%  5.8%
 化成品          4.4%   10.4%  6.0%
 医薬医療        25.0%   33.3%  8.3%
 機械プラント/新事業他  1.3%    4.2%  2.9%
      計       3.3%    7.6%  4.3%

▽フリーキャッシュフロー(億円)
             3年累計
 [源泉]当期利益      670
    償却費     1,500
    計       2,170
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 [使途]設備投資     1,270
    運転資本増減     100
    計        1,370
--------------------------------------
 フリーキャッシュフロー   800

▽ROAの改善要因
 販売価格       △0.4%
 販売数量        2.9%(医薬医療事業の拡大等)
 コスト削減       1.6%
 その他(資産圧縮等)  0.2%
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      計      4.3%
▽主要課題
 1.繊維事業のROA改善
 2.化成品事業のROA向上
 3.医薬医療事業の拡大と収益性の維持
 4.資産圧縮

◆資源投入方針
▽設備投資
 償却の範囲内(設備投資額420億円/年、減価償却費500億円/年)
▽研究開発費
 年平均300億円を投入(約5割は医薬医療事業に投入)
▽人員
     1999年9月末   2002年度目標
 単体   5,853人   4,200人
 連結 1万9,744人 2万2,000人
(注)単体:フィルム事業合弁会社への移管(約700人)
      繊維事業の減員など(約950人)
   連結:東邦レーヨン、フィルム合弁等新規連結による影響

◆総資産の効率化(億円)
 1999年9月末総資産  約9,000
 新規連結影響       約1,200
 時価会計影響         約700
 売上増分影響         約600
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 計           約11,500
 資産圧縮(運転資本等)  約1,000
 2002年度末総資産  約10,500

◆売上高・利益のイメージ
 [売上高]
             1999年度見通し 2002年イメージ
 繊維           3,200   3,800
 化成品          1,300   2,300
 医薬医療           900   1,000
 機械プラント/新事業他    950   1,200
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 計            6,350   8,300

 [営業利益]
             1999年度見通し 2002年イメージ
 繊維               45     250
 化成品              75     250
 医薬医療            150     200
 機械プラント/新事業他      30     100
---------------------------------------------------------
 計               300     800

 [当期利益]            60     330
 (総資産)         9,000  10,500