2000年01月07日
三菱商事など3社、ビール用PETボトルの試作へ
今月末に毎時1,500本能力の試作機を完成
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三菱商事

 三菱商事プラスチック、日精エー・エス・ビー機械、ユーテックの3社は、共同でビール用PETボトルの普及を推進していくことにして準備を進めてきたが、1月末から毎時1,500本能力(一本500cc容量)の試作機を稼動させて同ボトルの試験生産を開始することになった。
 これら3社が普及させたいと考えているボトルは、DLC(ダイアモンド ライク カーボン)法と称される独特の手法によって炭素膜を内壁にコーティングすることでガスバリア性を飛躍的に高めることに成功したPETボトル。DLC法をPETボトルに適用するのはこれが初めて。DLC蒸着PETボトルは、ガス遮断性が極めて高いのが最大の強みとされる。既存の単層PETボトルに比べると、酸素や二酸化炭素の遮断性能は10倍以上という。また、DLC蒸着膜は、酸やアルカリなどに侵されない性質を持つのでFDAの安全基準に適合してもいるという。さらには、DLC膜の付着のままで再生繊維の製造が可能とも説明している。
 三菱商事プラスチックなど3社では、こうした強みを生かしてこれまで困難とされてきたビール分野へのPETボトルの参入を推進していく方針。まづは、急速にビール需要が拡大している中国など海外市場からこのプロセスの普及を図っていきたい考え。
 今月末から稼動予定の試作機は、基礎設計能力が毎時3,000本というもの。これら3社では、これがフル稼働するようになれば、同6,000本規模のコマーシャル装置を作って本格普及に乗り出す方針である。
 なお、三菱商事プラスチックによると、世界全体の同ボトルの潜在需要は2003年で60億本と予想されている。