1999年12月17日
バイエル、「国際アスピリン賞」を授与
アセチルサリチル酸に関する優れた研究成果
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:バイエル

 独バイエルはこのほど、米ハーバード医科大学(マサチューセッツ州ボストン)のチャールズ・ヘネケンス教授に「1999年国際アスピリン大賞」を授与した。ヘネケンス教授は疫学者であり、その長い研究生活の大半をアスピリンの活性成分であるアセチルサリチル酸(ASA)の研究に捧げてきたが、今回その業績が称えられたもの。同教授は、2万2,000人の医師が参加した研究を通して、低用量のアセチルサリチル酸を定期的に投与すれば、心筋梗塞の危険性を最大44%下げられることを実証した。アスピリン大賞受賞者には副賞として5万ドイツマルクが贈られる。
 また、本年の「若年研究者アスピリン賞」は、2人の若い女性研究者に授与された。一人は米テキサス大学(テキサス州ダラス)の分子生物学者ミン・ジャン・ジン博士で、アスピリンの活性成分が持つ、これまで知られていなかった新たな抗炎症効果を発見した。もう一人は、ドイツのハレ/ビッテンベルク大学薬理学毒物学研究所の生物学者、ステファニー・オウバリ氏で、アセチルサリチル酸の血管保護効果の研究を行なった。「若年研究者アスピリン賞」の副賞は、総額2万ドイツマルク。
 ドイツ・バイエル社のポール・バメリス専務(研究開発担当)は、「バイエルのように研究上の専門知識を潤沢に蓄えている化学・医薬品会社であっても、自社だけで、アスピリンの活性物質の秘められた作用について知り尽くすことは不可能である。バイエルは、外部の研究者の研究努力を支援しており、その一つがアスピリン賞である」と述べた。
 バイエルは、アセチルサリチル酸に関わる優れた研究を賛え、「国際アスピリン賞」を贈っている。もともと鎮痛剤として開発されたアスピリンの有効成分は、その後、それ以外に、心筋梗塞や脳卒中の予防、心筋梗塞の急性治療、狭心症や偏頭痛の療法など、医学上重要な適応症が見い出された。現在でも数々の国際的研究が行なわれており、ある種のタイプのガンの予防に対するアセチルサリチル酸の効果が研究されている。アスピリンとその活性成分については、毎年約3,500もの学術論文が発表されている。