1999年12月14日
三菱化学、初の連結中期経営計画を発表(2)
石油化学の営業利益目標は2002年度に590億円
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学が14日発表した連結中期経営計画において、石油化学部門については2002年度に売上高6,220億円、営業利益では590億円を目指す。このほか同中計において重点成長分野に位置付けている機能化学品および医薬部門については、収益とも大幅に増大させる方針。
 セグメント別の売上高目標は、石油化学部門が6,220億円(1999年度見込みは5,000億円、3年間の伸び率24%)でトップを占め、以下、機能材料部門の4,140億円(同3,800億円、同9%)、情報電子部門の2,390億円(同1,900億円、同26%)、炭素・アグリ部門の1,950億円(同1,900億円、同3%)、機能化学品部門の1,620億円(同1,200億円、同35%)、医薬部門の1,420億円(同1,200億円、同18%)、サービス部門の1,210億円(同1,000億円、同21%)--となっている。
 一方、セグメント別の営業利益は、石油化学部門が590億円(1999年度見込みは230億円)、機能材料部門230億円(同100億円)、情報電子部門210億円(同50億円)、機能化学品部門180億円(同90億円)、医薬部門160億円(30億円)、炭素・アグリ部門140億円(同100億円)、サービス部門90億円(同60億円)を目標としている。
 また事業分野別の展開方針について、石油化学はグループの屋台骨を支える基幹事業分野として、長期間にわたる収益の安定確保・拡大を果たすとともに、重点成長分野である医薬、機能化学品をキャッシュフローの面で相当な長期間、強力に支えるという役割を担っており、フリーキャッシュフローの安定的かつ長期的最大化を図る方針。具体的には「選択と集中」のもと、アライアンスを含めた事業構造改革の完遂と徹底的なコストダウンにより安定収益を確保する一方、コア事業については国内市場には国内事業で(内-内)、海外市場へは海外事業(外-外)で対応するという基本戦略のもと、収益確保のための成長戦略を展開する。このため1999年度見込みの輸出510億円:海外生産360億円から、2002年度には輸出310億円:海外生産720億円と、海外生産比率が倍増する見通し。また主なアクションプログラムとして、〓国内事業の収益確保のため、鹿島・水島両地区における近隣各社との連携によるコンビナートとしての競争力強化と、ポリオレフィンの小規模系列停止による生産最適化と次期大型設備投資計画、〓シンガポールのPP(ポリプロピレン)コンパウンド合弁会社MYTEX-APを核としたアジア展開、中国など新規テレフタル酸海外展開計画、アクリル酸・アクリル酸エステルの新規海外事業展開などを挙げている。
 また機能化学品の展開方針は、高収益体質の定着・強化と、医農薬中間体、電池機材事業などの積極展開による事業規模拡大の両立、また上記目標の実現に必要な資源の優先的投入(M&Aを含む)行い、事業規模2000億円の達成の2点。主なアクションプログラムは、既存事業の選択と集中の深化、およびM&Aを含む事業規模の拡大として1,4BG、イオン交換樹脂、機能性樹脂、機能色材などなど既存事業に加え、先日発表したロシュ袋井工場買収に代表される医薬中間体での100億円事業の達成など新規事業についても積極的に拡大を推進する。
 医薬では、合併効果の早期実現と自力による事業規模の拡大と、次の展開としてのM&Aによる売上高2,500億円規模の早期実現を展開方針とし、販売力強化による売り上げ拡大、生産コストの一層の削減、間接部門のスリム化、海外臨床開発のウエイト拡大、M&Aなどのアクションプログラムを策定している。
 このほか情報電子は、収益重視への戦略転換、CD-R/RW増強やDVD-R/RWの展開や980LD(レーザーダイオード)地上系への展開など高収益事業へ特化、資源を重点投入するほか、低収益事業は売却・撤退を含め構造改革を早期に実行する。炭素アグリはキャッシュフローの安定的極大化を基本に事業を展開、コークス事業におけるコストダウンの徹底とスリム化、ガス事業のプレゼンス拡大、肥料事業の構造改革に取り組む。
 さらに技術開発(R&TD)は、事業戦略との連携を強化するため、技術/事業の独自性(強み)を吟味し選別・重点化するとともに、技術プラットフォームの構築、意識改革や商品開発のスピードアップのため新たなマネジメントシステムを導入する方針で、中計期間中のR&TD経費は、現在の年間760~770億円に対し、700億円程度を見込んでいる。