1999年12月09日
ダイセル化学、次世代ArFエキシマレーザー用レジスト材料開発本格化
アダマンタン誘導体の工業化に向け、パイロットプラント設置へ
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:ダイセル化学

 ダイセル化学工業は9日、次世代の半導体製造プロセスに使用されるArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザー用のレジスト材料として有望なアダマントン構造をもつ重合性化合物と重合性のγ-プチロラクトン類の開発を本格化する、と発表した。
 同社は関西大学・石井康敬教授と共同で開発しているN-ヒドロキシイミド類を触媒とする新酸化技術がアダマンタンなどの脂環式化合物の誘導体化にきわめて有効であることを見出し、収集のアダマンタン誘導体の工業的な製造技術の可能性も検討してきた。また、半導体メーカー、レジストメーカーにサンプルを提供し、アダマンタン化合物の次世代の半導体製造プロセス用レジスト材料としての可能性も検討してきた。その結果、数種のアダマンタン誘導体が有望であると判断し、レジスト市場の立ち上がりに対応してサンプルおよび製品を供給し、同時に工業的な製造技術の検討を本格化するため2000年3月に総合研究所(兵庫県姫路市、阿部敏所長)内にパイロット規模の製造設備を設置する。また、これに先立ち、レジスト用樹脂のベンチ重合設備も2000年春に完成させる予定。
 アダマンタンは化学的に安定的な化合物で、従来の技術では誘導体化が困難であった。また、工業的に利用できるアダマンタン誘導体は種類、量が限られており、高価であったため、ArF用レジスト材料に使用されるアダマンタン誘導体も種類が限定され、レジスト性能改善の障害となっていた。同社では、石井教授が見出した触媒技術がアダマンタンの誘導体化に極めて有効であることから、並行して用途開発を進めながら、アダマンタン誘導体の工業的な製造についても検討を行ってきた。用途の中でも、レジスト材料分野における製品化が早く、技術的にもハロゲン系試薬を用いる従来技術に比較して、品質、収率ともきわめて優位であると判断、サンプルおよび製品の本格的な生産体制を整えることにしたもの。
 さらにこの技術は、アダマンタン誘導体のほかにArF用レジスト材料への使用性が期待されているγ-ブチロラクトン類の製造にも有効で、安価な原料から種々の構造のラクトンを製造し得ることが判明したため、この化合物の製造についても併せて検討し、需要家に供給していく。