1999年12月09日
ダイセル化学、新酸化技術の工業化に向けパイロットプラントを建設
関西大学・石井教授との共同研究、高効率な酸素酸化触媒
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:ダイセル化学

 ダイセル化学工業は9日、関西大学工学部・石井康敬教授と共同で研究している高効率、高選択的な酸素酸化触媒の工業化検討を加速するため、2000年3月に総合研究所(兵庫県姫路市、阿部敏所長)に3億円投資し、パイロットプラントを設置する、と発表した。
 石井教授が発見した新酸化触媒は、N-ヒドロキシイミド骨格を有する化合物と種々の金属化合物を組み合わせて使用するもので、活性が非常に高く、従来の酸化条件に比べてきわめて温和な条件でも高効率で反応し、しかも選択率が高いという特長を持っている。また、組み合わせる金属化合物の種類を変えることにより、反応の促進や、選択性の制御が可能で、きわめて広範囲の基質に対応できる。
 同社では、この触媒系の実用化について過去4年にわたり研究を続けてきたが、工業化可能な案件が多数あると判断し、工業化プロセス確立への検討を加速すべく、パイロットプラントを設置することにしたもの。
 共同で開発している酸化触媒技術は、N-ヒドロキシイミドのほかにも特徴的な触媒系に展開、多様なニーズに対応可能で、シクロヘキサノンやアジピン酸、テレフタル酸、ピロメリット酸などのバルク・コモディティ化学品の製造プロセス革新から、半導体レジスト、電池電解液などの電子材料、医農薬中間体、香料、医療材料用途などに使用されるファインケミカルズの製造に至るまで、幅広い展開が期待されている。
 同社では現在、100を越える案件が工業化リストに上がっており、2000年早々から研究開発要員を倍増した60名体制に強化する。また、新技術に対する他社からの引き合いも活発化しており、自社のみの取り組みにとどまらず、他社との協業も積極的に推進していくとしている。