1999年12月09日
スチレン系樹脂、来年の中国ローカル家電向け需要は期待薄
エアコンメーカーの抱える過剰在庫が懸念材料
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 PS(ポリスチレン)やABS樹脂などスチレン系樹脂の中国ローカル家電向け需要は、来年厳しい状況となりそうだ。特にエアコン向けは、ローカルのメーカーが過剰在庫を抱えており、旧正月前にはY2K(2000年問題)の反動も加わった場合、大幅に需要が減少する可能性も出ている。
 中国の春蘭、格力、海爾、華宝など国内エアコンメーカーは、ここ数年外資系メーカーを上回る勢いで販売を拡大している。一般的にエアコンの生産は4~5月に最盛期を迎えるが、1997年夏これらのメーカーは、例年より気温が高かったことから、7月頃から急に増産し始めた結果、過剰在庫が生じた。1998年に入りようやく前年の在庫を解消した後、暑い夏を迎えたことから再び、増産、またも在庫が積み上がってしまった。
 これに対し今年は、これまでの経験を踏まえ4~5月から増産体制に入ったものの、今年の夏は思ったほど気温が上がらず、また日本ほど暖房機能が充実していない国内企業のエアコンは夏以降ほとんど売れていないため、「2000年中は生産しなくても十分なほどの過剰在庫を抱えている」(日本の大手商社)と見られている。
このため来年は、現在発生しているY2K対応の前倒し需要の反動と、例年の旧正月明け前の需要減に加え、エアコン向けの需要も期待できないため、従来を上回るレベルで大幅に需要が減少する可能性があり、スチレン系製品にとっては厳しい年明けとなることも十分考えられる。