1999年12月02日
旭化成、業績評価の指標にEVAを導入
推進委員会を設置~事業部門の自立経営を促進
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成工業は1日、業績評価の指標としてEVA(Economic Value Added、経済付加価値)の導入を決定した、と発表した。EVAを開発した米スターンスチュワート社とコンサルタント契約を締結、EVAを評価軸として経営システムに導入、全社でEVA改善に取り組むことで、事業部門の自立経営を促進、成長型事業ポートフォリオの組替えを加速する考え。
 EVAは、米国のコンサルタント会社スターンスチュワートが開発した指標で、税引後営業利益から、株主の期待利益と負債金利で構成する資本費用を差し引いた絶対額で表され、企業が経済的な付加価値をどれだけ生み出したかを示す。
 旭化成は、今年4月に中期経営計画「ISHIN2000」を策定、「国際的なルールで競い、勝てる経営」を目指し、成長型事業ポートフォリオへの組替え(選択と集中)と効率の高い経営システムへの改革により、企業価値の増大を目指している。同社はすでに1997年度から事業部門別バランスシートを導入、ROA(総資産税後利益率)を尺度に資産効率の向上に取り組んできたが、今回スターン社の協力を得て検討を重ね、EVAを業績評価の主要な指標として導入することを決定した。今後はEVAを業績評価の指標としてだけでなく、日常の企業活動の意思決定ツールとして普及を図り、さらなる資産率の向上を目指す。同社では、顧客や取引先、従業員、株主などステークホルダー全ての期待を反映、業績評価の指標として、経営改革推進に有効なツールになると期待している。 これにともない、山本一元社長を推進委員長、徳永哲男副社長を副推進委員長、各事業部門長を部門EVA推進責任者とするEVA推進委員会を設置、全社的な浸透を図るとともに、来年度からの完全導入を目指し具体的な活用方法について検討・決定していく。EVA活用の方向としては、〓EVA改善に主眼を置き、成長型ポートフォリオへの組替え(選択と集中)を加速する、〓EVAによる事業部門の業績評価を行い、自己責任による自立経営を促進する、〓EVAを評価軸とする日常の企業活動の意思決定に関わる経営システムやツールを開発、導入する、〓EVAを反映した報酬制度を順次検討する(中期課題)となっている。
 最近の同社のEVAは赤字が続いており、同社はROAよりもより厳しい基準を選択したことになる。