1999年11月30日
電気化学工業、内外で特殊樹脂生産体制強化を検討
国内~バッチ式や旧サンスチレン設備利用/シンガポール~土地取得交渉中
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:電気化学工業、東洋スチレン

 電気化学工業は、国内外で特殊樹脂の生産体制を強化していく方針だ。国内では、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)ブロックコポリマー「クリアレン」を増強したばかりだが、さらに同社が保有しているPS(ポリスチレン)用バッチ式設備の釜や年内をめどに休止を予定している旧サンスチレンの設備を有効利用する考え。またシンガポールでは、PS設備の隣接地で土地取得交渉を進めており、TXポリマー(MMA・スチレン共重合体)をはじめとした特殊透明樹脂設備の建設を検討している。
 同社は、5年ほど前からスチレン系樹脂を中心とした透明グレードのラインアップを強化している。PSでは、デンカシンガポール(DSPL)で生産しているGP透明グレードの「MW」(日本では東洋スチレンが生産)、透明HIPS(東洋スチレン)のほか、ABS系樹脂でも透明ABS樹脂の「CL」、「CU」、さらに透明ポリマーとしてTPポリマー、TXポリマーなどを揃える。このほかクリアレンは、今春登場した500ミリリットルPETボトルのシュリンクラベル用フィルムとして需要が伸びている。
 電気化学は、今後電子材料、特殊混和材と並んで特殊樹脂に資源を集中する方針を打ち出しており、国内では今年4月に営業を開始した東洋スチレンに設備移管しなかったバッチ式設備の重合釜や旧サンスチレンの連続設備(年産3万2,000トン)を有効利用し、特殊樹脂の生産を強化する考え。旧サンスチレン設備は年内に休止、バッチ式の釜も今年度中に移管を完了することから、来年度中には生産能力が拡大する見通し。
 一方、シンガポールのDSPLは、単一グレード(MW)を生産する設備としては最大級の年産6万トン設備を有しているが、来年初めをめどに生産能力を約7万2,000トンに引き上げるとともに、次期計画の検討を進めている。現在、隣接地の取得交渉を進めているが、取得地で特殊樹脂設備を建設する方針。クリアレンは設備投資が嵩むことから難しいものの、TXポリマーなどが事業化の候補に上っている。