2002年06月12日
経産省、海外で増える「模倣品」対策強化へ
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:特許庁

 先月末北京で開催された「日中化学官民対話」では、知的財産保護問題がテーマの一つに取り上げられ、日本側は2つの化学会社名をあげて「中国内に模倣品が出回っている」と指摘、善処を求めたが、経産省によると、このところ海外における模倣品被害は急増している。このため同省では今後官民一体となった「権利侵害品対策」を強化していく方針という。
 
 海外での模倣品被害の実態は、正確にはつかみにくいが、特許庁がアンケート調査したところによると、2001年に被害総額が年間10億円を超えた日本企業は22社にのぼった。国別で被害の大きいのは中国で全体の32%を占めた。つづいて韓国18%、台湾17%の順だった。
 
 模倣品で大きいのはオートバイ、家電製品、エアコン、自動車部品、時計、キャラクターグッズなどだが、被害は多岐にわたっており、化学品関係では農薬から化粧品、接着剤といった家庭用品に”にせもの”が多く出回っているという。TVドラマ、音楽、ゲームソフトなどの海賊版CDの被害も後を絶たないのが現状。
 
 「経済活動のグローバル化に伴い、アジアで製造されたこれらの模倣品が欧米をはじめ世界各地で流通し、わが国企業の被害をさらに大きくしている」と同省産業政策局では被害の拡大に強い懸念を抱いている。
 
 今後は、権利侵害している相手国政府の協力をえて、特許法など関連法の整備や運用の適正化を図るほか、欧米諸国との連携強化、WTOシステムの活用、さらに官民一体となった戦略的取り組みなどによって知的財産の保護、権利侵害問題に対応していきたいと、同省では具体策検討を急いでいる。