2002年06月17日
住友化学、MMAでアジア戦略。 日、韓、シンガポールを結ぶ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成、クラレ、住友化学、日本触媒、三井化学、三菱ガス化学、三菱レイヨン

 住友化学は、メチルメタアクリレート(MMA)事業の重点的な拡大をはかっているが、まず、MMAモノマーのアジア地区での生産計画を固めた。これによると日本、シンガポール、韓国での設備能力を3カ国合計(合弁を含む)で、現在の年産19万5,000トンから2003年から2004年にかけて34万5,000トンへと7割近くに増強する。
 
 具体的には国内では、愛媛工場の4万2,000トンに、ことし3月に日本触媒から事業統合(住化64%、日触36%の姫路工場は存続)した5万トンが加わり、来年の10月に三井化学との統合により、三井化学・クラレ合弁の大阪工場分(4万トン)が加算されるので、三井住友化学となる来年10月には国内13万2,000トンの供給体制が確立する。
 
 また、シンガポールでは現在5万3,000トン設備に加えて7万〜8万トン設備を増設する計画を進めている。さらに韓国では合弁会社・LG化学の現有5万トン設備を10万トンに増設する。

 MMAのアジアでの需要はことしが83万トンていど。今後も年率3〜4%の需要増(2005年で90万トン)が見込めることから三菱レイヨン(設備能力、年産21万7,000トン)、旭化成(同10万トン)、クラレ(同8万トン)、三菱ガス化学(同4万1,000トン)なども増設に意欲をみせているが、アジア市場での多角的な供給戦略では住化が先行している。
 
 MMAのポリマーは成形材料や板に加工されて使われる。成形材料のうちペレットでみると弱電・光学用に38%、自動車用などが37%、文具・雑貨用が17%。板では看板・ディスプレー用が33%、電気・弱電が25%、建材15%、照明8%といった比率で使われている。とくに電気・弱電は昨年から40〜50%の伸びで需要がふえている。
 
 その対象は液晶ディスプレー、携帯電話の液晶表示板などである。とくに液晶導光板用は国内の需要が昨年の1万5,000トンからことしは2万5,000トンにふえ、加えてアジア地区、とくに中国での伸びが見込めることから、住化のほか三菱レイヨン、旭化成などが中国、台湾などでの工場建設を手がけている。