2002年01月29日 |
昨年の汎用樹脂の出荷、フィルム用が縮小し射出用が増加 |
製品輸入が足を引っ張る反面、パレット需要の拡大の好材料も |
【カテゴリー】:実績/統計 【関連企業・団体】:経済産業省 |
経済産業省製造産業局が29日に集計したところによると、汎用4樹脂(ポリオレフィン3樹脂とポリスチレン)の昨年1年の総出荷数量は4樹脂全てが前年の実績を下回った。LDPEは5.1%減(総出荷量は177万549トン)、HDPEは4.4%減(同118万8,489トン)、PPは1.2%減(同272万3,297トン)、PSは10.1%減(同101万9,005トン)--となっている。 うち国内向け出荷は、PPがわずか0.7%ながら前年を上回って241万5,544トンとなったものの、他の3樹脂はいずれもマイナス成長となった。LDPEは2.9%減の155万3,883トン、HDPEは2.2%減の同98万3,163トン、PSは9.5%減の89万2,144トン--へとそれぞれ縮小している。 輸出は、軒並み前年を下回った。LDPEが18.6%減の21万6,666トン、HDPEが13.5%減の20万5,326トン、PPが13.7%減の30万7,753トン、PSが14.2%減の12万6,861トン--といずれもこれまでになく大幅な減少となった。 一方、国内向け出荷の需要部門別(品種別)の実績を見ると、全体に包装分野向けの落ち込みが大きい点が注目される。LDPEの最大消費分野であるフィルム用は3%減(ただしコンマ以下の四捨五入の数字、以下同)で81万4,644トン、同樹脂の加工紙用も3%で25万4,459トン、HDPEの同じく最大消費品種であるフィルム用は7%減で36万5,027トン、同樹脂の中空成形用は4%減で17万4,496トン、PPの中空成形用は11%減で2万8,019トン、フラットヤーン用は5%減で4万4,401トン、PSの包装用は6%減で33万4,787トン--となっている。これには、レジ袋、一般フィルム、フラットヤーンなどの加工製品の輸入の増加と容器包装リサイクル法の本格施行に伴う薄肉化の進行が特に大きく影響していると見られる。 ただしPPのフィルム用はフィルム各社のより積極的な市場開拓によって前年の横並びの50万8,950トンとなっている。PPの国内向け総出荷量がわずかながら前年を上回ったのは、同樹脂の消費ランク第2位のフィルム用がマイナス成長をまぬかれたのと、最大消費分野の射出成形用が2%増の137万2,463トンとなったことによる。また同樹脂では、押出成形用が6%増えて22万8,182トンとなっている点も目を引く。 PP業界によると、射出成形用が伸びたのは、パレット・コンテナーの需要が大幅に増えたからという。国内のみならず中国など海外からの注文も前年を大きく上回ったとのこと。HDPEの中では同じく射出成形用が8%増の12万3,378トンとなっている点が目立つが、これもパレット・コンテナー向けの需要が急増したことによると見られている。木材資源保護の思想の拡がりとプラスチック製品の持つ衛生性や強度に対する評価の高まりが要因といえるようだ。 |