2002年01月28日
旭硝子が「緊急構造改革」船橋工場から全面撤退、化学品事業もスリム化
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭硝子

 旭硝子の石津進也社長は28日記者会見し、船橋工場からの全面事業撤退や化学品事業のスリム化、退職者優遇制度の拡充などを柱とする事業構造改革に着手すると発表した。2001年から3ヵ年中期経営計画「シュリンク・トウ・グロー」を展開中だが、事業環境の急激な変化により、見直しが必要になった。

 船橋工場からは、2003年末までに全事業撤退する。同工場は1956年にCRT(ブラウン管)用ガラスバルブの最初の工場として操業を開始したが、CRTメーカーの海外シフトなどで需要が減少し、1990年の4000万個から2002年は700万個にまで落ち込む見込みだ。
 
 このため生産体制を再構築するもので、今後CRT用ガラスバルブの生産は、国内では高砂工場で続けるが、比重は東南アジア、韓国、中国など海外拠点に移す。船橋工場からの撤退はファンネル用窯はすでに停止済み。パネル用は2窯のうち1窯を今夏、残りの1窯を2003年央~末に停止する。これによる特損約170億円の見込み。
 
 化学品事業では合成ソーダ灰の生産中止、北九州工場の化学品事業からの撤退・設備廃棄など2段階の改革を実施してきたが、追加施策として本社機能をスリム化する。今年10月をめどに本社500人の人員のうち役職者を中心に約150人削減する。組織も簡素化する。
 
 第3ステップとしてクロール・アルカリ事業の地域需要対応型への転換を急ぐ。現状の枠組みを維持しながら、原燃材料の見直しやプラント運転最適化による収益改善に努める。
 
 石津社長は「クロ-ル・アルカリ事業はコンビナートに組み込まれているため、本来のゴールに向けた考えが実行できていない」と“含み”のある説明を行った。