2002年01月28日
チッソ、有機EL材料の供給体制確立
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:NEC、三洋電機、大日本印刷、チッソ、東北パイオニア、パイオニア

 チッソ(03-3284-8501)は、有機ELフルカラーディスプレーの製品化に向けて電機メーカー数社が本格的に取り組み始めたため、有機EL材料の供給体制を確立することになった。
 量産化は需要の状況をみてきめるが、当面、横浜研究所で生産を開始する方針である。
 
 有機ELは自発光するため液晶に比べバックライトがいらず低電力型であり、ディスプレーも視野角が広く、ななめからみても画像がゆがまない、さらに動画に向いているなどの特徴がある。
 同社では有機ELディスプレーが液晶ディスプレーを補完する形で実用化されるものとみている。
 
 液晶は現在、世界的にみて2兆円規模の市場、液晶材料は300億~400億円となっているが、2005年には5兆円をこえ、同材料は1,000億円程度になるとみられている。
 
 これに対し有機ELは電機各社の出方によるが、まだ、有機ELが液晶に本格的に代替するとの見方はとれないと同社ではみている。
 有機ELディスプレーは東北パイオニアのほか、NEC、大日本印刷、三洋電機などが製品化を急いでいるが、さしあたり意欲が先行しているだけで、どこまで市場が開拓できるかの疑問もあるわけである。
 
 チッソでは30年前から液晶(TFT)の材料を手がけた実績があり、有機ELディスプレーメーカーの要請にも対応できる体制をもっている。とくにディスプレーを構成する三要素、つまり上部の電子正孔輸送材料(シロール)、コアの発光素、正孔注入材料の3材料のうち、輸送材料の駆動電圧が在来品に比べ20%ていど低く、周辺の部品価格が安くなり、また電気を電子光に変える発光効率が高いなどの特徴があるとしている。