2002年08月06日
新開発の高感度検出法での試験結果を報告
厚労省の研究班、パン中の臭素酸には問題なしと結論
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:厚生労働省

 厚生労働省の特別研究班の一つである厚生科学研究チームはこのほど、パンに用いる小麦粉の処理剤である臭素酸カリウムの高感度検出試験結果を取りまとめ、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の毒性・添加物合同部会に報告した。
 
 それによると、新たに開発された高感度の検出法を使っても市販のパンの臭素酸の残留は確認できず、また、輸入冷凍パン生地からの検出試験でも問題がないことが確かめられたとしている。輸入パン生地の試験では、臭素酸が検出されないか、もしくは検出されても微量であってパンの焼成時に完全に分解される量であることがわかったという。
 
 同研究チームが今回の試験を実施したのは、臭素酸カリウムがわが国では食品添加物の一つとして指定されているものの、FAO(国連農業機構)とWHO(国連保健機構)の合同チーム(JECFA)が、ADI(1日当たりの摂取許容量)を設定できないことを理由に小麦粉処理剤としての使用が適切でないとの見解を発表したり、EUが使用を禁止したりしたため、改めて安全性の試験を実施したもの。この試験では、これまで以上の高感度の分析法を開発して市販パンならびに輸入パン生地中の臭素酸の残留の有無を確認する方法が取られた。しかしその結果、いずれの場合も問題がないとの結論になったわけで、このデータが同審議会で承認されると、米国同様に日本でも引き続きパン用の小麦粉の処理剤として臭素酸カリウムの使用が認められることになる。