2002年08月07日 |
アストラゼネカ、肺がん治療剤「イレッサ」の供給急ぐ |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:宇部興産、厚生労働省 |
アストラゼネカ(大阪市北区、マーティンライト社長)は先月、肺がん治療剤「イレッサ」の輸入について厚生労働省から承認を受けるとともに、薬価基準への収載を待ち、9月にも発売する予定で準備を進めているが、患者、医師から強い要請があるため、特定療養費制度にもとづく供給をこのほど開始した。 イレッサは非小細胞肺がんの病状改善や病勢安定に即効性があり、一方、同肺がんの病勢の進行が早いことから、このような特別措置を講じたもの。 イレッサは従来の抗がん剤とは異なる新しいタイプの分子標的治療剤の1つで、新薬としての承認はわが国が世界で初めて。選択的な上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)。 わが国での承認申請は世界中の約400人の患者を対象にした2つの第〓相臨床試験のデータにもとづいて行われた。同データは化学療法による治療で効果が認められなかった進行非小細胞肺がん患者に、1日1回250mgの単剤投与し腫瘍の縮小あるいは病勢安定がもたらされるというものである。 がんによる日本人の死因は1981年以降、21年連続して第1位。2001年には約30万人ががんで死亡、このうち肺がんは5万5,000人に及んでいる。 アストラゼネカは世界最大クラスの薬品会社。わが国では宇部興産が、同社の医薬品原体・中間体の受託生産を行うことになり、資金約40億円を投じて、2003年3月までに工場を建設する予定。2005年度の売り上げ目標は医薬品事業全体で300億円。 |