2002年08月19日
三菱レイヨン、MMAとMAAを再値上げへ
9月1日出荷分から、それぞれ25円と30円アップ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは、MMA(メチルメタクリレート)モノマーとMAA(メタクリル酸)の販売価格を9月1日出荷分から再値上げすることにして需要家各社に説明し説得に乗り出した。
 
 今回の上げ幅は、MMAモノマーが1キログラム当たり25円、MAAが同30円。率にすると、いずれもおよそ15%になると説明している。
 
 前回の上げ幅は、MMAモノマーもMAAもともに同20円であった。同社の要求が全面的に各需要家に受け入れられたもので、5月出荷分から新価格に切り替えられた。それにもかかわらず、今回再値上げに踏み切ることにしたのは、原油とナフサの価格が高止まりしているのに加え、アセトンとメタノールが引き続き騰勢をたどってきたことによって採算が再び圧迫されてきたためという。
 
 同社によると、MMAモノマーの需給バランスは第3・四半期に入って全世界的に一段とタイトになっている。これは、全体の需要が引き続き順調に拡大しているのに対して供給力が定修とプラントトラブルの集中によって縮小しているからで、同社では、第4・四半期には事態が一層深刻になると予想している。
 タイト化の要因の一つである需要全体の拡大は、MMA成形材料と同シートの需要がLCD用導光板の急速な普及を主たる背景に一層活発になっているのに加え、透明ABS樹脂やMS樹脂向けの需要も急回復してきたことによるものという。また、北米では、住宅や自動車関連でも同ポリマーに対する需要が大きく伸びている模様。
 需給逼迫のもう一つの要因である供給力の低下は、欧米で大型プラントの運転トラブルが相次いでいることと、世界各地で秋の定修がスタートし始めたことによるもの。わが国でも三菱レイヨンの年産10万7,000t能力のACH法設備が9月下旬から定修のため運休する。
 
 こうした全世界的な需給のタイト化が作用して、最近の国際スポット相場も急上昇している。同社の輸出価格も同様で、3〜6月にトン当たり150ドル上がったあと、7〜8月に同100ドル、そして9月渡し分はさらに同100ドルの引き上げが実現し、CIF価格は1,300ドルとなるのが確実の見通しとなっている。
 今回の再値上げは、こうした国際的需給の逼迫と市況の改善を背景に実施されようとしているものであり、同社では、この機会を捉えて採算性の改善をぜひ実現したいと説明している。