2002年08月20日
旭化成、ANの輸出価格をさらに引き上げへ
円高にらみ、中国の需要家と折衝開始
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成はこのほど、中国のAN(アクリロニトリル)の需要家ならびにトレーダー筋との間でANの9月の輸出スポット価格の改定交渉を開始した。
 
 8月のCFR価格はトン当たり850ドルで、7月に比較すると40〜50ドルのアップとなったが、9月渡し分についてはこれをさらに20〜30ドル引き上げたい考え。これが実現すると、年初の価格を320〜330ドル上回ることになる。
 
 同社が9月の納入分についてもANの対中国向け輸出価格を引き上げることにしたのは、原料ナフサ価格が高止まりしているのに加えて、円高の進行で輸出採算を大きく圧迫されるが必至となってきたため。また、中国国内のアクリル繊維の価格が順調に底上げされるようになってきた点も考慮したものと見られる。
 
 中国におけるANの需要は、引き続き繊維向けやABS樹脂向けを中心に好調に推移している。また、アセアン諸国でも同様に需要は順調に伸びている。
 一方の供給は、日本と韓国のANメーカーの間で秋の定修が相次いでスタートするので向こう1〜2ヵ月は大幅に縮小する見通しにある。もともとショートバランスにあるアジア地域全体の需給だが、この秋は品不足が一段と進むのが確実の状況となっている。したがって旭化成の場合も、値上げした後の供給責任をきちんと果たしていけるかどうかが重要なポイントとなる。