2002年09月19日
青色LED訴訟で、開発者の特許移転請求認めず
東京地裁、日亜化学に特許権
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:豊田合成、日亜化学

 日亜化学工業(徳島県阿南市)を相手に青色発光ダイオード(LED)の特許権の一部移転登録などを求めた米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授の訴訟の判決が19日、東京地裁であった。三村量一裁判長は「特許を受ける権利が会社に譲渡されていた」とし、特許権は日亜化学にあると判断した。中村氏は同日控訴する意向を明らかにした。
 
 中村氏は1993年、当時、20世紀中は困難とされていた青色LEDの製品化に成功した。同地裁で今回争われたのは、初期段階の特許の一つ。中村氏が日亜化学の社員だった90年に発明し、日亜化学名義で登録された。
 
 中村氏側は「青色LEDは会社の命令に反して一人で開発した。職務上の発明ではない。日亜化学に権利を譲渡していない」としてきた。中村氏は特許権が移転されない場合、日亜化学に権利を譲渡した対価として20億円を請求することにしてきており、今後は同地裁でその対価の額などについて審理される。
 
 特許法は発明者に特許出願する権利があると定めているが、日亜化学側は「社員の発明が完了した時、特許を受ける権利が会社に移るという暗黙の了解があった」と中村氏の主張に反論していた。
 
 LEDは電流を通すと発光する半導体素子で、電球よりも消費電力が少ない。また、寿命も長い。自動車計器類、カーステレオ、照明器具、信号機、携帯電話のバックライトなどに用途がある。中村氏の青色LEDの開発により、青、緑、赤の三原色がそろいフルカラーを実現した。
 
 日亜化学はさる17日、約6年にわたって豊田合成と争っていた青色LEDの特許係争(40件)について、同社と和解した。