2002年01月18日
VECの首脳が記者会見、PVCの輸出環境は好転と予想
国内では窓枠やサイディングの需要の拡大に期待
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:信越化学工業、東ソー、トクヤマ、塩ビ工業・環境協会

 塩ビ工業・環境協会(VEC)の田代圓会長(東ソー会長)と武田正利(鐘淵化学工業社長)、三浦勇一(トクヤマ社長)、市村浩信(信越化学工業常務)の副会長3氏は18日、定例の記者会見にそろって出席し、今年の塩ビ樹脂の需要の展望や同樹脂業界共通の課題などについてそれぞれ見解を明らかにした。
 
 この中で田代会長は、最初に、昨年のPVCの出荷実績について触れ、「あいにく内需は大幅な落ち込みとなった。しかも月を追って前年同月に対する縮小幅が大きくなっている点が気になるところだ。これには、国内の一般景気の後退が大きく影響したと言える。このため、PVC業界全体が引き続き少なからざる赤字を計上する事態となった」と予想以上の厳しい事態に陥っている実情を説明した。しかし同時に「生産が需要の減少に見合った規模に抑えられ、その結果、在庫が適正水準を維持できている点は救い」と、厳しい環境の中でも需給のバランスが確保された点が大きな収穫である旨を強調もした。
 一方、今年の需要については「内需がどうなるかは、3月ごろにならないとはっきりしない」と述べる反面、「アジア地域のPVCの需給バランスは、EDCやVCMの供給が大幅に縮小する見通しなのでかなり早く好転する見通しにあり、それに伴い同地域の市況も比較的早期に回復すると見ている」と輸出環境にはあるていど期待が持てるとの見方を披露した。
 そして、VECの当面の課題に関しては「当協会の設立の目的からいっても、引き続き環境対策の充実が最大のテーマ」と前置きして「これまで活発にリサイクル活動などを展開してきたが、今年はそうした活動の成果がもっとはっきり目に見えるかたちで表れるようにしていかねばならない。ついては、技術開発などの詰めをしっかり進めるなり、より効果的な最適リサイクルシステムの構築などに一層努力していく必要がある」との見解を表明した。
 さらに、同樹脂の新市場・新用途の開拓の展望についても言及し、「韓国や中国などでは塩ビの窓枠が大きく伸びている。日本でもサイディング材も含め今後はこうした建材分野で十分に新しい需要を開拓していける」と自信のほどを示した。
 また、武田、三浦、市村の副会長3氏も、PVCのアジア地域における需給バランスと市況の回復に期待している旨を表明するとともに、国内では、消防法による規制の緩和もあって窓枠やサイディング材の需要開拓が着実に進むとの明るい見通しを口を揃えて披露した。