2002年09月24日
ユニチカの「テラマック」に話題集中 射出成形グレードの生分解性プラスチック、耐熱性140℃
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:カネボウ、クラレ、ソニー、東レ、三井化学、三菱樹脂、ユニチカ

 生分解性プラスチックの実用化をめぐってユニチカの取り組みが話題を呼んでいる。生分解性プラスチックは環境への負荷が軽減でき、製品を廃棄する際のコストが削減できるなどの特徴がある。ユニチカはトウモロコシなどからつくるポリ乳酸に層状ケイ酸塩を微細な粒子として加え、耐熱性を140℃と従来(58℃)の2倍強に高め、射出成形に成功、このほど同プラスチックの販売を始めた。
 
 ユニチカはこれまでポリ乳酸を主成分とする製品を「テラマック」の商品名で手がけてきた。硬質タイプの二軸延伸フィルム、軟質タイプのブローンフィルムなどのフィルムやスパンボンド、フィーバー(長・短繊維、モノフィラ)の三分野で、射出成形グレードは4番目となる。射出成形グレードの販売は初年度500トン、次年度1,000トン、2005年度3,000トンを目標にしている。
 
 同社のテラマック製品はすでに包装フィルム(ミニディスク用)としてソニーに、請求書窓付き封筒フィルムとしてNTTドコモに供給しているほか、食品容器・包装材、生ゴミ袋、水切り袋、防草シート、農業用マルチフィルム、ティーバッグ、ポロシャツ、列車ヘッドレストカバーなどの用途も開発している。
 
 同社はテラマップをナイロン、ポリエステルに続く事業に育てる方針。ポリ乳酸は米国のカーギル・ダウから輸入するが、テラマップ全体としては今年度3,000トン、次年度5,000トン、2005年度15,000トン(売り上げ約120億円)の規模の事業になるとみている。
 
 テラマップは既存の汎用プラスチックであるポリスチレン、ポリプロピレン、ABSなどに比べ熱的、機械的特徴が上回る可能性があり、ノートパソコン・ケースのような電子機器や光学機器、OAなどのハウジング、自動車部品といった分野への伸長が期待される。
 
 ポリ乳酸はことし4月にカーギル・ダウが年産14万トン設備を完成、コストを大幅に削減して、わが国の技術提携先であるカネボウ合繊、三井化学、三菱樹脂、クラレなどに供給を始めた。ほかに東レもカーギル・ダウとの提携を検討している。ポリ乳酸の価格は、1キロ当たり一時800円だったが、現在は500円ていどまで下がり、将来は250円も予想できるという。