2002年09月25日
BP、セラニーズ等がアセチル製品の再値上げを相次ぎ表明
シンガスのCOガス装置トラブルもあって需給逼迫が継続
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:なし

 酢酸、酢ビ、酢酸エチルのいわゆるアセチルファミリー製品の国際相場が10月の出荷分以降さらに引き上げられるのが必至となってきた。
 これは、BPケミカル、セラニーズ、ミレニアムといったアセチル製品大手がここにきて相次いでこれらの製品の追加値上げを打ち出してきたことによるもの。

 酢酸については、先にBPケミカルが4Q(10〜12月期)の価格をトン当たり30ドル引き上げると発表したのに続いて先週にはセラニーズも同様の意向を表明。さらに最近は日本の酢酸メーカーもすかさずこれに追従する構えを示している。同製品の場合、現在は、3Q(7〜9月期)分の価格を巡っての交渉が最終段階にきているところだが、2Q(4〜6月期)分に同50ドル上乗せしたいとするメーカー各社の希望がどうやらそのまま通りそう。この結果、アジア地域の3Q分のCFR価格は同610ドル前後に引き上げられる見通しだが、メーカー側ではそれを10月からさらに30ドル底上げするとユーザー各社に通告しはじめているもの。
 こうした酢酸各社の相次ぐ追加値上げの表明は、需給が世界各地で一段と逼迫して採算是正の徹底の環境が整備されてきた点を視野に置いてのもの。最近の需給の逼迫には、需要が全世界的に一段と活発化してきた中で、シンガポールのシンガス社の大型COガス装置の事故によってセラニーズ・シンガポールの年産50万t能力の大型酢酸プラントの稼働が1ヵ月半にわたって停止を余儀なくされたことも大きく影響しているといえる。現在も同プラントの稼働率は、シンガスのCガス装置の復旧がまだ完全でないため50%どころにとどまっている様子。
 
 一方の酢ビに関しても、セラニーズやミレニアムが原料の不足と高騰を理由に10月1日出荷分からの再値上げを打ち出している。上げ幅はトン当たり75ドルで、これがユーザーに受け入れられるとアジア地域のCFR価格は同820ドルとなる。需要がポバール向けを中心に引き続き旺盛で需給が一層引き締まってきているので、日本の酢ビメーカーもただちに追従することになりそう。