2002年09月27日
産業界の有害大気汚染物質の排出が大幅に縮小
13年度の総排出量は12物質合計で11年度の37%減
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:経済産業省、日本化学工業協会

 経済産業省製造産業局は27日、産業構造審議会化学・バイオ部会のリスク管理小委員会(座長=中西準子・横浜国大大学院環境情報研究院教授)に対して、日本化学工業協会や石油連盟など合計74の業界団体と計5つの地域自主管理計画策定主体(地域グループ)の平成13年度における有害大気汚染物質の削減実態を報告した。
 
 これは、かねてからAN(アクリロニトリル)、VCM(塩ビモノマー)、ベンゼンなど合計12の有害大気汚染物質の削減に取り組んでいる各種の業界が13年度においてどんな実績を上げたかを調べた結果を取りまとめたもの。
 現在、これらの物質の関連業界は、個別業界団体ベースと地域グループベースとで平成13年度から15年度までの3ヵ年を対象とした第2期自主管理計画(削減計画)を策定してその目標達成に懸命に取り組んでいるところ。
 
 この日の報告によると、対象12物質の13年度の総排出量は、基準年である平成11年度の3万8,241tから2万3,925tに減少している。1万4,316t削減されたわけで、削減率は37%に達している。第2期計画の最終年度である15年度までの削減目標量は1万5,002t(11年度比39%減)となっているが、いち早くその95%を消化していることになる。このペースから判断して12物質全てが15年度の目標を期間内にクリアするのは間違いなさそう。
 
 合計12物質のうちの4物質がすでに15年度目標を初年度でクリアしている。具体的には、アセトアルデヒドが達成率109%、ジクロロメタンが同105%、ホルムアルデヒドが同126%、二硫化三ニッケル・硫酸ニッケルが同100%と同684%--となっている。
 
 一方、地域自主管理計画の対象5地域におけるベンゼンの総排出量は、11年度の1,045tが372tに縮小している。削減量は672tで、削減率は64%という高水準となっている。15年度までの削減量(896t)の75%を消化していることになる。
 
 全体に削減が極めて順調に進んでいるわけだが、これには、各業界が生産量や使用量を思い切って縮小するほか、代替物質への切り替えにも積極的に取り組んだことが大きく作用していると見られる。