2002年05月20日
酢酸のアジア価格、2Qはトン50ドルアップの公算
需給バランスの急速なタイト化が影響
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:昭和電工

 BPケミカル、昭和電工、ダイセルなど酢酸メーカー各社が韓国やタイなどのPTAメーカーをはじめとした需要家各社との間で進めている酢酸の第2・四半期分の価格交渉がここにきて急速に進展、値上げの受け入れを表明するユーザーが出始めた。
 
 酢酸メーカー各社が計画している今回の値上げは、今年第1・四半期分を若干引き下げることを条件に第2・四半期分を底上げするというもの。1Q分については、原料価格の下降を配慮してトン当たり10ドル下げることで各ユーザーと合意している。一方の2Q分については、ほとんどの酢酸メーカーが原油価格の高騰によるメタノールやエチレンの急騰を理由に同50ドル引き上げたいとしている。リストプライスを同570ドルに改善するというのが酢酸各社にほぼ共通した目標となっている。
 
 ここにきてPTAメーカーなど需要家の中にこれを受け入れるところが出始めたのは、インドネシア・KMIのプラント事故や世界各地における定修の集中によってメタノールの供給が激減してきたこと、PTA向けを始めとした需要全体が急ピッチで回復してきたこと、酢酸メーカーの間でも定修に入るところが相次ぎ始めたこと--などが重なってアジア地域全体の酢酸の需給が急速にタイト化してきたため。今後もなおしばらくはタイトな状況が続く見通しにある。一方の原料価格の高騰は避けようがない。このため、昭和電工など酢酸各社は、どうしても5月中に全てのユーザーから同50ドルの値上げに対して同意を取り付けたいとしている。