2002年10月04日
「高濃度アルコール含有燃料」法規制へ、経産省
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:資源エネルギー庁

 経産省は4日、自動車燃料として「高濃度アルコール含有燃料」が市販されている問題について、「安全性能や環境性能の低下を招く」とし「不適切な自動車燃料を法的に規制する必要がある」とする、調査委員会の第3次評価結果を発表した。調査委員会は3日に開催し同報告をまとめた。
 
 「高濃度アルコール含有燃料」というのは、ガソリンなどの燃料留分に、エタノールやイソプロパノール、イソブタノールなどのアルコール成分を混入し、自動車燃料として市販されているもののことで、資源エネルギー庁によると国内には現在「ガイア」など5銘柄程度が一部のガソリンスタンドで販売されている。
 
 国内では製造されておらず、すべてが韓国やシンガポール、マレーシアなどからの輸入品だが、通関統計上はガソリンではなく「その他の化学品」として扱われているため、輸入数量や相手国、国内の流通経路など、実態はほとんどつかめていない。値段はレギュラーガソリンに比べてリッター当たり10円程度安く売られているという。
 
 この燃料がわが国に輸入、販売されるようになったのは2-3年前頃からとみられているが、この燃料が原因とみられる自動車の事故や故障が相次ぎ、すでに77件に達したとの報告も出ている。このため事態を重く見た資源エネルギー庁では、調査委員会を開いて対策検討を急いできた。

 調査委員会はまず、市販されている高濃度アルコール含有燃料をサンプリングし、組成・成分の分析や、自動車の燃料系部品への影響などを科学的に調査した。その結果「高濃度アルコール含有燃料は、金属腐食性やゴム・プラスチック製部品の機能低下を引き起こし、ガソリンと比較しても燃料耐性が低下する可能性がある」との結論に達した。
 
 また「現在のガソリン自動車は、ガソリン以外の高濃度アルコール含有燃料を想定した設計になっていない」とし、「再発防止への取り組み」を次の通り提言した。
(1)安全性能や環境性能の低下を招く不適正な組成・性状の自動車燃料を法的に規制すること。
(2)新たな組成・性状の自動車用燃料については、事前に安全性能や環境性能など、自動車の各種性能に与える影響が客観的に確認できるスキームを導入し、新たな自動車燃料として市場参入への道を閉ざさないよう配慮すること。

 これを受けて同庁では、近く委員会を設け「高濃度アルコール含有燃料」の法的規制のあり方について本格検討することにしている。